現在、自律移動型ロボットの運用については詳細な規定や法律はないが、すでに一部の公共施設内などで来館者を案内するロボットや施設内の清掃、警備・巡回を行うロボットなどが利用されている。また、ソフトバンクが6月に一般向けに販売した人型ロボット「Pepper(ペッパー)」の初回販売分1000台が完売するなど消費者にも身近になっており、「今後、自律移動型ロボットの普及が急速に進む可能性がある」(政府関係者)とされる。
ドローンの教訓
政府がロボット運用のルール作りに着手する背景には、4月に首相官邸の屋上にドローンが落下した事件の影響もある。ドローンなどの無人機は、運用上の具体的なルールや法規制が整備されていない中で急速に普及し、人混みでの落下事故などの問題が起こっている。自律移動型ロボットについても、運用次第では事故につながる可能性があるとみて、「想定される問題を考慮しながら、先にルール作りを進めるべきだと判断した」(政府関係者)。
一方、政府はこうしたルールを他国に先駆けて整備し、国際規格化させることで、日本に世界中のロボット技術が集積する効果も期待する。運用の実証実験も、空港などの施設をロボットの海外売り込みに向けた“見本市会場”と位置づけることで、「ロボット先進国」を世界にアピールする狙いがある。