まだほとんど更地の状態である新国立競技場の建設予定現場。東京五輪開催決定から1年10カ月あまりの時間的ロスは大きく、完成が五輪に間に合うかどうかは、ギリギリの時間との戦いになる=2015年7月17日、東京都新宿区(ロイター)【拡大】
破棄される現計画は巨大な2本のアーチなど工事の難しさもあったが、国際コンペに4カ月、設計に2年をかけ、着工から完成まで44カ月を見込んでいた。国内最大の収容人数(約7万2000人)を誇る日産スタジアム(横浜市)も、設計に2年2カ月、施工に45カ月かかった。新計画が時間との戦いになるのは間違いない。
テスト大会実施ほぼ不可能
また、大会組織委員会が13年に国際オリンピック委員会(IOC)に提出した立候補ファイルによると、新国立競技場では19年11~12月にサッカー、20年2~4月に陸上のテスト大会が予定されている。これらの実施はもはや不可能に近く、大会準備に大きな影響を及ぼしかねないと懸念されている。
後利用の問題もある。屋根や可動席のない構造となれば、五輪後に収益性の高いコンサートなどが開けず、採算に頭を悩ませることになる。計画をゼロベースで見直すと決めた以上、これらの課題をすべてクリアする必要があるが、ハードルは相当高い。しかし、そうでなければ「皆さんに祝福される大会」(安倍首相)にはなりえない。(SANKEI EXPRESS)