環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関する主要閣僚会議であいさつする安倍晋三(しんぞう)首相(中央)。右は甘利明(あまり・あきら)TPP担当相=2015年7月24日午後、首相官邸(斎藤良雄撮影)【拡大】
TPP政府対策本部は26日、米ハワイ州マウイ島で行われている首席交渉官会合の進捗(しんちょく)状況を内閣府で記者団に説明した。それによると、25日までの間に紛争処理手続きや国有企業改革に関する協議が行われたが、「完全に協議が終了したものはない」とした。会合には、日本からは鶴岡公二首席交渉官が参加している。
一方、大江博首席交渉官代理は農産物輸入をめぐり米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国と2国間協議を行った。協議の遅れが指摘されるカナダについて、政府対策本部は「一生懸命にやっている」と強調した。
≪悩める台湾 韓国のFTA攻勢に焦り≫
輸出の多くを電機・IT産業に依存する台湾が、TPP交渉の行方を注視している。ライバルの韓国が中国などとの自由貿易協定(FTA)で先行。海外市場で競争力低下の恐れが高まるなか、TPP参加が重要課題となっているためだ。ただ、米国などによる“中国外し”の色彩もあるTPPの扱いは台湾にとって、対中配慮で難しい側面がある。
「韓国による欧州連合(EU)や中国とのFTA妥結は、台湾の輸出に大きなダメージを与える」