6月24日、安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領が電話会談を行った。その後、クレムリン(ロシア大統領府)は、年内のプーチン大統領訪日に向けた準備を行うように関係各省に指示した。その結果、ロシア政府内部で対日強硬論者が、北方領土問題でプーチン大統領が日本に譲歩しないようにと牽制(けんせい)を始めている。
7月17日、北海道広尾町の広尾漁協所属の小型サケ・マス流し網漁船、第十邦晃丸(29トン、11人乗り組み)が、歯舞群島沖でロシア国境警備局に拿捕(だほ)された。乗組員は国後島に連行された。ベニザケを漁獲枠より約470キロ多く積んでいたことが拿捕の理由ということだ。北方領土問題に対するロシアの態度が強硬になると、国境警備隊による日本漁船に対する規制も厳しくなる傾向がある。零細漁民による470キロの超過漁獲ならば、通常は拿捕されず、もう少し穏便な措置が取られる。
ロシアは他にも日本に対する厳しいシグナルを送っている。18日には、スクボルツォワ保健相が、北方領土の色丹島を訪問し、新しく完成した病院などを視察した。これも「色丹島はロシア領なので、日本に返還する必要はない」というロシアからのシグナルだ。