キリバスがフィジーに土地を買った理由について、アノテ・トン大統領は「新たに購入した土地は国民が移住するためではなく、今後農作業ができなくなったときに食料を確保するため」と説明している。とはいえ、キリバスは50年後ぐらいまでに部分的に水没する可能性もあるとされ、約10万人の国民の移住先としても視野に入れての購入だろう。
いつ自分たちの国土がなくなってしまうか分からないという過酷な状況の中でも、キリバスの人たちは明るく前向きに暮らしていたのが印象的だ。私が旅立つ日は、空港まで一家で歩いて見送りに来てくれ、別れを悲しんで涙を流してくれた。そしてお母さんは、「島が沈む前に、絶対にもう一度遊びに来るのよ」と言ってくれた。
日本からの距離はオーストラリアとほぼ変わらないが、飛行機を乗り継いで片道3日、運賃も30万円近くかかる“近くて遠い国”キリバス。簡単ではないが、絶対にもう一度、あの笑顔に会いに行かなくてはいけないと思っている。(今泉有美子/SANKEI EXPRESS )