それでは、この法案はどのような内容なのだろうか。
<現時点の条文によると、分与されるのは国や自治体に属する極東の遊休地で、ロシアの国民と個人事業者が対象。希望者が選定できる区画は、近隣居住区が人口5万人以上であれば最低10キロ、人口30万人以上であれば20キロ離れた場所であることが条件となる。
ソ連崩壊後の法整備により、現在のロシアでは土地の私有が認められている。今回の法案は、分与された1ヘクタールが申請通りに使用されていれば、5年後に私有財産にできるとしている。
政府はインターネット上で土地選定手続きを行えるよう準備を進めており、9月上旬にウラジオストクで行われる「東方経済フォーラム」で公表する方針だ>(8月4日付「産経新聞」)
北方領土に人口5万人の居住区は存在しないので、北方四島内の国や自治体に所属する遊休地が対象となるということなのであろう。北方四島のインフラは依然として脆弱(ぜいじゃく)だ。電気や水道のない場所で個人が土地を譲り受け、開墾に従事するとは考えがたい。ただし、水産加工会社にも土地を分与するならば、この機会を用いて択捉島に拠点を持つ「ギドロストロイ」が、事業を拡大する可能性は十分にある。