参院本会議の問責決議案で、一人牛歩戦術を行い投票を行った後、安倍晋三(しんぞう)首相(左)に対して手を合わせるという行為を行った生活の党と山本太郎となかまたちの山本太郎氏(右下)=2015年9月18日午後、国会・参院本会議場(斎藤良雄撮影)【拡大】
「米国と同一視される恐れ」
不安の声もある。NPO法人「難民を助ける会」の長有紀枝理事長は「国際的貢献は必要だと思うが、個別具体的には問題がある。もう少し中身の議論をしてほしかった」と話す。
長理事長は、海外で身の危険を感じるようなことはあるが、自衛隊員と一緒になるような場面は少なく身は自分で守ることを貫いてきた。「(法案成立によって)紛争当事国の米国と同一視され、活動の際に身の危険が及ぶ恐れがある」と訴える。
浜谷英博三重中京大名誉教授(憲法学)は、安全保障政策をめぐっては国際情勢を踏まえ、どのようにすれば、国民の生命、財産を守れるかが、議論の中心であるべきだと主張する。
日本を取り巻く環境は厳しさを増し、浜谷名誉教授は「政府は今回の法案で抑止力を高めることで危機的な状況を改善しようと試みた。だが、野党は初めから廃案ありきで議論にすら到達できなかった」とした上で、「与野党どちらの安全保障政策に実効性があるのか、国民が判断することができなかったことは残念としかいえない」と語った。