さらにチームは研究施設内での疑似走行試験では基準をクリアしていることに不審を抱き、車を調査。ハンドルの位置や速度、エンジン出力などから施設内での走行試験と検知した場合は排ガス浄化機能がフル稼働し、通常走行と検知すれば、エンジン出力を最大化するため、浄化機能を低下または停止させる違法ソフトを搭載していたことを解明した。
試験結果の公表を受け、EPAがVWに対する調査を開始。VWは当初、排ガス機能に問題があるとして50万台のリコールを申し出た。しかし、その対応を疑問視したEPAが「16年型製品を承認しない」と警告したため、VWはやむなく違法ソフトによる不正を認めたという。
「学べなかったか」
地方大学の少人数のチームが、世界一を争うドイツを代表する大企業を追い詰めたことに世界が驚愕しているが、責任者のカーダー氏は、「環境汚染は見たくないが、われわれには成功も失敗もない」と、いたって冷静。チームは15年前にも米重機大手キャタピラーなど7社が大型ディーゼル車に同様の違法ソフトを搭載していた問題の解明に協力しており、カーダー氏は「過去の過ちから学べなかったのか」と苦言を呈した。(SANKEI EXPRESS)