≪優雅でゆったり 昔ながらの時間そのもの≫
自動車の通らない街、それがベネチア。人は車や信号を気にかけることなく街を歩く。
サン・マルコ広場はいつも多くの観光客でにぎわっているが、一歩、内通りに入るとほとんど人を見かけなくなり、自分がどこをどう歩いているのか全く分からなくなる。行き止まりのような路地のその先に突然、大きな広場があったりする。目的地にまっすぐ車で乗りつける街とは異なり、緩やかで不思議な時間の中に身を置いている感じだ。朝早く、泊まっているホテルの近くにあるドゥ・カーレ宮殿前の広場からスキヴォーニ川岸の通りに出てみた。
船着き場にはヴァポレットや、たくさんのゴンドラが係留されている。ベネチアに来ると必ず利用する交通の要所だ。私も何度もここから運河を巡ったり他の島に行ったりして、すっかりなじみになった場所だ。朝は特に大きな荷物を運ぶ人たちに出会う。屋台を引いたお土産屋やさん、野菜や魚を運ぶ人、牛乳屋さん、大きなカバンの旅行者、みんな手で荷物を運ぶ。