環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の大筋合意を受けて、ホワイトハウスで米国の農業、産業界のリーダーたちと懇談するバラク・オバマ大統領(右)。左はソフトウェア・アライアンスのビクトリア・エスピネル最高経営責任者=2015年10月6日、米国・首都ワシントン(ロイター)【拡大】
大統領選も反対一色か
また16年の大統領選の候補者もTPP攻撃を開始している。これまでTPPへの態度を明らかにしてこなかったヒラリー・クリントン前国務長官(67)は7日、大筋合意の内容について「支持できない」と表明。共和党でも支持率争いでトップを走る不動産王、ドナルド・トランプ氏(69)が5日の大筋合意発表後、「ひどい合意だ」と酷評した。注目度の高い2人の候補者がTPP反対を打ち出したことで、大統領選に向けた論戦がTPP反対一色で染まる可能性もある。
一方では米国の農業団体や製造業団体からは大筋合意を歓迎する声も目立つ。ただし米国内では、1994年1月に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)が製造業などで雇用の流出につながったとの見方は強く、自由貿易協定への反感は根強い。
米韓自由貿易協定(FTA)では、2007年4月の大筋合意後、米議会の反発などで追加協議が必要となり、批准は4年半が過ぎた11年10月になった。ある日本政府関係者は「大筋合意はTPPの実現ではない。国際交渉では米国に振り回されることはよくあることだ」と指摘している。(ワシントン支局 小雲規生(こくも・のりお)/SANKEI EXPRESS)