「上海日本人学校高等部」の生徒たち。小中学部に隣接するマンションの一部を間借りした“校舎”で正式な看板もないが、124人が元気に学んでいる=2015年10月23日、中国・上海市(河崎真澄撮影)【拡大】
上海日本人学校の学校運営委員長を務めている森本義規(よしのり)・日本航空上海支店長は「金融や貿易、製造業などから店舗展開などサービス業に中国への進出日系企業の様子が変化し、在留邦人の年齢層が若くなったため、帯同家族減少に加え、児童や生徒の低学年化が進んでいるのではないか」とみている。
このため3学年で210人まで受け入れ可能な高等部は大幅な定員割れとなっている。上海日本人学校全体としては経営的に黒字を確保しているが「高等部単体では赤字」(武一彦事務局長)なのが実情という。
さらに高等部だけにのしかかる課題も多い。校舎建設や学校運営で小中学校の日本人学校なら得られる文科省と外務省からの補助金はゼロ。文科省が給与支給など支援を行う日本からの教員派遣も高等部はゼロ。世界で唯一の高等部は自力で活路を見いだす以外に方法がない。
日本国籍を持たない外国人を幅広く受け入れる「インターナショナル校」への転換など、民間の知恵を生かした経営基盤強化の考え方もあろう。だが、日本人の海外での子女教育はどうあるべきか、グローバル人材育成や高等教育はどう進めるべきかといった国家戦略なしに、責任を現場だけに押しつける政府であってはなるまい。世界で唯一の上海日本人学校高等部の成否が、改めて問われている。(上海 河崎真澄、写真も/SANKEI EXPRESS)