工夫と努力
さかのぼっていくと、その原点は私の幼い頃にありました。この本には、お弁当のレシピが載っています。「なぜお弁当?」と、不思議に思われるかもしれませんね。本のコラムにも書いているのですが、お弁当にまつわる涙の思い出があるからです。小学生のとき、お弁当をあけると、水分でびしょびしょになっていることがあり、なぜ私だけ…と悲しくなってしまいました。ある日、お弁当やお総菜を売る仕事をしているおばの家を訪ねると、おにぎりをお弁当箱に詰める前に、一旦冷ましていたのです。私の母は4人の子供を育てながら美容師もしていたので、きっとごはんを冷ます暇がなかったのでしょう。それに気づかず母を責めてしまったことを思うと、今も涙がこぼれそうになります。
けれど、同時に、「びしょびしょなお弁当がいやなら、自分で工夫をすればいいのだ」と気づけた経験でもありました。それまでは人前でお弁当を開けることが恥ずかしかったのですが、そんなコンプレックスも、工夫と努力で乗り越えられるのだ、と…。