この作品で、もう一人の主役といっていいのが「黄金のアデーレ」だ。「あの絵は、彼女の叔父がクリムトに依頼した伯母の肖像画で、彼女の家に掛かっていたという非常に個人的なもの。これが風景画だったら全く違う話になってしまう」
ナチスの侵攻で、両親を残したままウィーンを命からがら脱出したマリアにとって、絵画の返還は自分の人生を取り戻すことと重なっていく。
マリアが「人は忘れてしまう。特に若い人は」と語るせりふがある。「忘れるな。それがこの映画のテーマ。今世紀も既に悲惨な出来事が続いている。過ちを繰り返すな、と言いたい」。11月27日、全国公開。(岡本耕治、写真も/SANKEI EXPRESS)