安倍晋三首相は29日から国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に出席するため、パリ同時多発テロで揺れるフランスを訪れる。各国首脳と対テロに向けて団結し、来年の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)議長国として存在感発揮を狙う。ただ、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」への軍事作戦に名を連ねず、非軍事面の貢献に徹する日本の発信力に限界は否めない。
「卑劣極まりないテロ行為は各国が共有する価値観への挑戦だ。国際社会がテロを防ぐため連携していく」。菅義偉(すが・よしひで)官房長官(66)は26日の記者会見で、安倍首相のパリ訪問の意義について力を込めた。
11月中旬からの20カ国・地域(G20)首脳会合やアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議など一連の国際会議で、安倍首相は「パリでまた会おう」と各国首脳に呼び掛けた。政府筋は「COP21を開催してテロに屈しない姿勢のフランスにいち早く呼応した」と解説する。