「世界を変えたい」との一心からインテリジェンスの世界に身を投じ、第二次世界大戦勃発の回避に精力を傾けた異能の日本人外交官、杉原千畝(1900~1986年)を描いた物語。タイトルは彼の名と同じく「杉原千畝 スギハラチウネ」(チェリン・グラック監督)だ。
特に若い世代には、唐突に杉原某…と言われてもピンとこないという人も多いかもしれない。しかし、第二次大戦中にリトアニア領事代理を務めた杉原は、ナチスに迫害され、欧州では行き場がなくなったユダヤ人に対し、日本政府の方針に反して独断でビザを発給し、約6000人の命を救うという離れ業をやってのけた、実に腹の据わった人物なのだ。
ハリウッド大作も多く手がけてきたグラック監督。遙か地球の裏側にある日本の一外交官に食指が動いたのは、「なぜこんなにもすごい決断をした人物が当の日本人に知られていないのか?」との素朴な思いからだった。「日本の外務省が杉原の名誉を回復したのは、死後14年もたってからなんですよ」。流暢(りゅうちょう)な日本語を駆使しながらグラック監督は苦笑いを浮かべた。