11月30日、首都パリで開幕した国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)の会場で会談し、握手するバラク・オバマ米大統領(左)と中国の習近平国家主席。同じ日に人民元のSDR(特別引き出し権)入りが発表されたが、決定を容認した米国の本意は100%支持ではなかった=2015年、フランス(AP)【拡大】
人民元採用の正式決定後、米財務省は「IMFスタッフが人民元の構成通貨への採用を提言した。本日、米国はその提言を支持した」とするごく短いコメントを発表。中国の思惑を阻止できなかった悔しさをにじませた。
新たなチャイナリスク
人民元が構成通貨に採用されたことは、人民元がIMFが定める「自由に取り引きできる通貨」という条件をクリアしたことを意味する。これで人民元は国際通貨のステータスを得たといえ、各国の中央銀行は外貨準備に占める人民元の割合を増やすもようだ。IMFによると、現状では各国中銀が保有する人民元の割合はわずかとみられるが、通貨アナリストの間では「外貨準備に占める人民元の割合は5%に達し、円を抜いてポンドと肩を並べる」との見方も出ている。
IMFには人民元に国際通貨としてのお墨付きを与えることで、人民元取引の自由化など中国の金融制度のさらなる改革につなげようという思惑がある。中国人民銀行(中央銀行)の周小川(しゅう・しょうせん)総裁(67)ら中国の金融改革派と連携して、習近平国家主席(62)ら中国指導部に改革の重要性を認識させ、改革の推進力を得ようという戦略だ。ラガルド氏は30日の声明で「改革努力の継続と深化がより頑強な国際金融システムをもたらし、中国経済と世界経済の成長と安定を支えることになる」とした。