岐阜県大垣市は、日本の枡(ます)の一大産地で、生産量の約8割を占める。古くは計量の道具として、生活に欠かせないものだった。だが、最近はめっきり見かけなくなり、最盛期は市内に11社あった枡メーカーも、今では約半数の5社になってしまった。「RE-DESIGN ニッポン」の第21回は、枡の技術を用いた製品開発やグローバル展開に取り組んでいる枡メーカー「大橋量器(りょうき)」の取り組みを紹介する。
生活に欠かせぬ器
大垣に枡作りが根付いたのは、材料となる木曽ヒノキの産地が近いことが挙げられる。かつて、木曽ヒノキの集積地は名古屋だった。明治中ごろ、大垣に戻った職人が、学んだ技術を広めたことで、大垣で枡作りが盛んになった。枡は、計量の道具として、また、祝い酒などを飲むための酒器として用いられた。さらに、節分の豆まきの器としても使われるなど、日常生活には欠かせない「器」だった。
大垣の枡メーカー5社の一つ、大橋量器の工房にお邪魔したのは、まさに年末年始に向けて、急ピッチで生産に追われているころだ。だが、ほかの伝統工芸品などと同様に、時代の移り変わりの中で、枡の需要は減少しているという。