航空自衛隊創設60周年記念のイベントで、堂々の演技を披露し、集まった約500人の自衛官らを魅了したブルーインパルスJr。この日のために用意した新技「クローバー」と「ビッグハート60th」も披露。左からリーダーの牧隆司空曹長(1番機)、湯口達哉空士長(2番機)、佐藤尚之空士長(3番機)、服部明日美空士長(4番機)=2014年9月24日、東京都新宿区の防衛省儀仗(ぎじょう)広場(鈴木健児撮影)【拡大】
ブルーインパルスJr.は、ブルーインパルスが所属する松島基地(宮城県東松島市)の航空祭を盛り上げるために1993(平成5)年に松島基地に所属する自衛官によって結成された。
本来業務ではなくあくまでもクラブ活動で、普段は管制隊や修理隊、司令部で自衛官としての仕事に従事する。身に着ける制服やスカーフは本家ブルーインパルスから譲り受けた本物の“お下がり”を着用。本家ブルーのトレードマークのイルカにちなんで、Jr.はシャチをイメージしたワッペンを右胸に着ける。
かつて航空祭で、ブルーの隊員と間違われてサインを求められ、「私たちホンモノじゃないですよ」と照れながらファンと交流したこともあるという。ファンクラブも存在する人気者なのだ。
≪復興誓う「青い笑撃」≫
しかし、2011年3月11日の東日本大震災はそんな状況を一変させた。松島基地を襲った大津波で戦闘機F2やT4などが多数再起不能に陥った。本家ブルーインパルスは震災当日、九州新幹線開業に合わせたフライトのため九州に赴いていて被災を免れたが、倉庫にあったJr.のスクーター全6機すべてが波にのまれ、泥と塩にまみれたのだ。