内装に目を移すと、こちらは和テイスト。直線基調ながらダッシュボードの張り出しを丸めたデザイン、素材の質感や、ナビ画面周辺の奥行きのつけ方などに、ミニチュア化した和室のような雰囲気を感じる。後輪駆動特有のキャビン中央部の張り出しはかなり高く、センターコンソールはそのままでアームレストにちょうどよい高さだ。したがって運転席は包まれ感が強く、バケット形状の革シートと相まって、スポーティーな気分を盛り上げ、ドライバーズカーであることを主張する作りと言える。反面、助手席との間は分断されている感じが強く、このあたりは好みが分かれるだろう。シートだけでなく、ハンドルにもヒーターが装備され、冬もぬくぬく快適にドライブできる。
ここまで高級感を積み上げながらも、非常に残念な点がひとつ。ずばりパーキングブレーキである。これがいまだに足踏み式。タクシーかと。プレミアムブランドなのだし、いいかげん電磁式にしてほしい。センターコンソールのレバー式にしたほうがまだしもISのキャラクターに合っているとすら感じる。単に見た目が古臭いというだけでなく、これが原因で、ブレーキのオートホールド機能が非搭載。渋滞の多い日本の道路で、高級車をスマートに乗りこなすには必須の機能だが、次のフルモデルチェンジ前に前倒しで採用するのは難しいか。
500万円の価値は…
今回試乗したIS200tは車両本体価格が500万円ちょい。欧州プレミアムスポーティーセダンのような走りの爽快感を期待すると、この価格は割高に思える。しかし、穏やかな走り味と高質感の内外装が醸し出すプレミアム感とおもてなし感、日本メーカーならではの安心感を重視するなら価格相応ではないだろうか。運転する自分だけが楽しむのではなく、助手席や後部座席に乗る人の満足感も気になるドライバーには丁度いい選択肢になると思う。(文・写真 小島純一)