相性抜群 MT+電磁式パーキングブレーキ
街乗りで特筆すべきは、電磁式パーキングブレーキ。AT車なら、この連載で取り上げたクルマの中にも装備されていたものがあるが、MT車との組み合わせは初めてだ。これが思いのほか相性が良かった。
赤信号で停車し、パーキングブレーキをオン。ギアをニュートラルに入れて、クラッチを離すと自動でアイドリングストップになる。信号が青になり、クラッチを踏むと自動でエンジンがかかり、アクセルを踏み込んでクラッチをつないだ瞬間にパーキングブレーキは自動で解除される。文章で書くと面倒くさそうに見えるが、実際にやってみるとごく自然な一連の動作であり、このブレーキの自動解除機能はMT車でこそありがたみが感じられる。
一番便利なのは言うまでもなく坂道発進の時で、アクセルとクラッチ操作だけで自然に発進できるのはMTに抵抗のある人にとっても嬉しい機能だろう。そして、坂道発進だけでなく、信号待ちや渋滞時もペダルから両足を離せるので、実は平坦な道路でも楽ができるのだ。レバー式や足踏み式のパーキングブレーキのAT車より、個人的にはこちらの方が楽だし、小気味よく決まるシフトが気分良く、街乗り主体であっても積極的にMT車を選びたくなる。ほんの少しヨーロッパの人の気持ちがわかったような気がした。
街乗りでは硬い乗り心地 しかし山坂道では…
街乗りで低回転域を使っている時、エンジン音はごく静かで気にならないレベル。遮音がよく効いていて、並んで走るほかのクルマの音もわずかに聞こえる程度。しかしながら、タイヤからのロードノイズは大きめで、道路の継ぎ目や段差を乗り越えた時の突き上げも強め。基本的な遮音性の高さから察するに、これは低扁平タイヤの弊害と思われる。より幅の細いコンフォート志向のタイヤを装備した標準グレードなら、かなり静かで乗り心地もいいはずで、ハイパフォーマンスとトレードオフされた部分と言える。
高速道路に入り、追い越し車線で高回転域まで回すと、スポーティーなエンジン音が気持ちいい。アクセルを強めに踏み込むと、タービンの回るヒューンという金属音が、シフトアップでアクセルを戻すとシュパーッと過給圧の解放音が聞こえ、コレコレ!と思わず頬が緩む。依然ノーマルモードのままで走り続けるが、出力特性にまったく不満は出ない。アクセル操作だけで追い越し加速も思いのままだ。