後席でも圧迫感少ない室内空間
前席は素晴らしい出来のシートと3ナンバーサイズの余裕の横幅で広くて快適。しかも、小径ハンドルが膝回りや視覚的な窮屈さも軽減してくれて一石二鳥である。
後席は大人2人が余裕をもって座れる足元スペースがある。前後に長いリアウインドウが顔の真横まで視界を開いてくれているおかげで圧迫感が少ない。リアウインドウが前後に長いということは後席ドア開口部の上側も広くなるわけで、乗り込む時に頭をあまりかがめる必要がないというメリットもある。
後席シートは肉厚もあり硬さもほどよいので上々の座り心地。少し背もたれの角度が立ち気味に感じられたが、長距離ドライブではむしろこのほうが体全体の疲れは少ないかもしれない。
荷室はフラット、後席は右4:左6の割合で分割して倒し荷室を広げられる。全部倒した時のスペースや倒した後席が真っ平らにならないのは他の競合車種と同等だが、段差ができてしまうのはややマイナスポイント。
ニホンゴ、デキマセ~ン
最大の難点は、インフォテインメントシステム。フランス本国仕様のままなので、欧州の言語にしか対応しておらず、後付けの日本製ナビを装着しない状態では日本語表示ができないのだ。仮に日本製ナビを装着した場合でも、車両情報など、クルマ本体に内蔵されたコンピュータ由来の情報表示は日本語に対応しない。例えば、パーキングブレーキ動作時はON、OFFがメーターパネル中央のサブ液晶画面に表示されるが、これは日本語にはならない。
ただ、さほど難しい単語が使われているわけではないし、定型文言が表示されるだけなので、多少英語(またはフランス語やドイツ語、イタリア語など)が理解できるなら、慣れで克服できるだろう。
本国仕様の左ハンドルに四苦八苦?
欧州仕様と言えば、写真を見ておわかりのとおり今回の試乗車は左ハンドルだった。これはたまたまそうだったというわけではなく、GTiは左ハンドルしか設定がないのである。
私自身左ハンドルのクルマを運転するのは10年ぶりくらいで、慣れるまでに少々時間がかかった。一番の問題は車両感覚。右ハンドルのクルマに慣れているので、ついつい車線の右寄りを走ってしまう。自分の体が車線内のどのあたりにあれば車体が車線中央に収まるか、という感覚が身についているからだろう。いつものように自分の体を車線右側に持ってこようとすると、左ハンドルだから当然車体は思いっきり車線右側に寄ってしまう。気がつくと、車線から右に少しはみ出して走っていて慌てて修正…ということが何度かあった。