ガソリン車と同じ感覚で乗れるエコカー
HVが今のところ“一番便利なエコカー”だということも人気の理由ではないだろうか。もちろん電気自動車(EV)や水素を使う燃料電池車(FCV)の発展も楽しみだが、インフラの整備状況や航続距離、高額な車体価格や購入後のメンテナンスなど総合的に考えると、まだまだガソリン車に乗るユーザーにとってHVは一番身近な存在だ。燃料にガソリンを使うということもあり、HVへの抵抗感も心理的に少ないと考えられる。
HVがしばらくエコカーの主役であることに間違いなさそうだ。HVは、EVやFCVの普及に向けた「つなぎの技術」などと揶揄されたりもしたが、少なくとも09年以降はプリウスが日本で最も売れている車種の一つとして市民権を得ているのが現状だ。
個性が控えめだからこそアプローチしやすい
ほかにもたくさんの理由が挙げられる。取り回ししやすいボディサイズや、5人乗車でもさほど苦にならない実用的な居住性。税込で242万円台から購入できる価格設定は、ファミリー向けとしても需要が高いだろう。新型車に関して言えば、前編でも触れたとおり全体的に引き上げられた基本性能や品質の高さも消費者心理に強く訴えかけるはず。この価格でこれだけ念入りに造り込んでいれば、大半のユーザーは満足するだろう。
プリウスは運転していてまったくクセのないクルマでもある。瀧カメラマンは「あえて『個性を感じさせない』のがプリウスの個性じゃないかな。誰が運転しても走りやすいクルマを造ることが、メーカーの狙いだと思う」と話していた。個性が控えめだからこそ、たくさんのユーザーに選んでもらえる“親しみやすさ”が滲み出るのかもしれない。