【試乗インプレ】絶品エンジンと低重心設計が光るエントリースポーツ トヨタ・86(前編) (4/5ページ)

  • 今回の主役と言ってもいい4気筒水平対向エンジン。すこぶる滑らかによく回って快感!トヨタ・86
  • トヨタ・86
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  • テールまわりにはトヨタロゴのみで車名、グレードのバッヂはつかない。何者かはこの後ろ姿が物語る、ということか。トヨタ・86
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  • タイヤサイズは前後とも215/45R17。スポークの隙間から大径ブレーキディスクが覗く。トヨタ・86
  • 後輪のブレーキディスクも結構大きい。トヨタ・86
  • 内外装のディテールは次週のお楽しみ。トヨタ・86


 そしてブレーキがよく効く。一般道でソフトに踏んでいる分にはデリケートなところがなく扱いやすいが、いざコーナー手前でガツンと踏み込むと安全な速度まで一気に減速できる。もちろん姿勢の乱れも皆無。思わず「いいねぇ」とつぶやいてしまう。

 コンフォートタイヤが鳴かない絶妙バランス

 標準のタイヤは215/45R17と、Cセグメント相当のスポーツカーとしては決して扁平率が高くなく、銘柄もミシュランのコンフォート系とスポーツ性を削がれそうな組み合わせだが、タイヤが鳴き出す場面はほとんどなく、むしろ好マッチングとさえ感じられた。タイヤのグリップに頼らずとも低重心と重量配分、そして程良いパワーが絶妙にバランスしていることがうかがえる。

 このタイプのクルマで、燃費性能を気にするユーザーはあまり多くないだろうが、参考までに満タン法計測の数値を書いておくと、ちょうど300キロ走ってリッター当たり10.77キロ。これ、公称燃費のほぼ9掛けである。私が担当した試乗車の中で、ダントツに公称燃費との開きが少ないのは意外だった。そう言えばロードスターも実燃費が割と良かったような…。

 まさに80点のスポーツカー(褒め言葉です)

 個々の性能に突出している部分はないが、総じてバランスがよく、運転の巧拙にかかわらずドライバーを楽しませてくれる。車格もパワーもフォームファクターも異なるが、狙っているところはロードスターに非常に近いものだと思う。ロードスター同様、走りに焦点を絞って緻密に作り上げられたクルマであり、量産車でここまで煮詰めたクオリティを提示できることに、驚くほかない。

トヨタは考えたのだろうし、私もそのコンセプトには共感する