そしてブレーキがよく効く。一般道でソフトに踏んでいる分にはデリケートなところがなく扱いやすいが、いざコーナー手前でガツンと踏み込むと安全な速度まで一気に減速できる。もちろん姿勢の乱れも皆無。思わず「いいねぇ」とつぶやいてしまう。
コンフォートタイヤが鳴かない絶妙バランス
標準のタイヤは215/45R17と、Cセグメント相当のスポーツカーとしては決して扁平率が高くなく、銘柄もミシュランのコンフォート系とスポーツ性を削がれそうな組み合わせだが、タイヤが鳴き出す場面はほとんどなく、むしろ好マッチングとさえ感じられた。タイヤのグリップに頼らずとも低重心と重量配分、そして程良いパワーが絶妙にバランスしていることがうかがえる。
このタイプのクルマで、燃費性能を気にするユーザーはあまり多くないだろうが、参考までに満タン法計測の数値を書いておくと、ちょうど300キロ走ってリッター当たり10.77キロ。これ、公称燃費のほぼ9掛けである。私が担当した試乗車の中で、ダントツに公称燃費との開きが少ないのは意外だった。そう言えばロードスターも実燃費が割と良かったような…。
まさに80点のスポーツカー(褒め言葉です)
個々の性能に突出している部分はないが、総じてバランスがよく、運転の巧拙にかかわらずドライバーを楽しませてくれる。車格もパワーもフォームファクターも異なるが、狙っているところはロードスターに非常に近いものだと思う。ロードスター同様、走りに焦点を絞って緻密に作り上げられたクルマであり、量産車でここまで煮詰めたクオリティを提示できることに、驚くほかない。