【試乗インプレ】ルックスと空力性能に磨き、贅沢な室内空間 日産の新型「GT-R」(後編) (2/5ページ)

  • ほかのクルマにはない唯一無二のデザイン。これならひと目でGT-Rだとわかる
  • 4つのリング型テールランプと栄光のエンブレムは日産「GT-R」に欠かせないシンボル
  • グリルの開口部を拡大し、冷却風量を最大化している。そこで失われる空力性能を、新たに採用したエアロパーツで補っている
  • 4つのLEDランプから構成されるスーパーワイドビームヘッドランプ
  • 4つのLEDランプから構成されるスーパーワイドビームヘッドランプ
  • 大径20インチのランフラットタイヤを履いている。タイヤの後ろには「GT-R」のロゴと、斜めに走るエアアウトレット
  • 大径20インチのランフラットタイヤを履いている。ブレーキはブレンボ製
  • どの角度から見ても迫力満点
  • 直線的な美しいラインを描くサッシュレスドアとウィンドー
  • 折り目が従来モデルよりもくっきりと入ったボンネット。ボディ剛性のアップに貢献している
  • 専用内装色のタンが映えるGT-Rのインテリア。これはプレミアム・エディションのみ味わえる意匠だ
  • シルプレートに「GT-R」のロゴが光る
  • アルミ製ペダル。もちろんスポーツカーのGT-Rには足踏み式パーキングブレーキなどという馬鹿げたものはありません
  • 2017年モデルは8インチモニターを中央に設置した。エアコン吹き出し口の配置も変えてある
  • ディンプル付き本革巻シフトノブを採用。セットアップスイッチもここにある。ハザードとエンジンスタートボタンが近いのが個人的には気になった
  • インストルメントパネルには、高級本革として知られるナッパレザーを“一枚使い”している。うん、ゴージャス!
  • 運転席の座面は超肉厚。シートヒーターなどの操作スイッチもついている
  • 後席の実用性に期待してはいけない。中央にはBOSE製スピーカーを配置
  • 手縫いのシートステッチ。タブには「Hand Crafted Stitch」の文字。後席中央にはBOSE製スピーカーを配置
  • ちょっとしゃれたドアハンドル。これなら空気抵抗も抑えられる
  • ちょっとしゃれたドアハンドル。これなら空気抵抗も抑えられる
  • 剛性とデザイン性を両立させたレイズ製アルミ鍛造ホイール。ブレーキはブレンボ製
  • ホールド性と座り心地のよさを両立したセミアニリン本革シート
  • 高級感漂う内装。内装色はタン
  • センターコンソールはカーボンを使用
  • セミアニリン本革シート
  • レザーをふんだんに使ったファッショナブルで高級感漂う内装
  • ミラーを通した後方視界
  • カーボン調のコンビメーター。立体的なメーターリングがかっこいい
  • エアコンの操作スイッチと、走りのテイストを自分好みにセッティングできる3つのセットアップスイッチ
  • ナッパレザーインストパネルと、本革巻ステアリング。「GT-R」のロゴが気分を盛り上げる
  • USBを介してスマートフォンの接続も可能
  • 整流効果や熱を逃がす効果を高める2017年モデルのエアロパーツ。4本出しのチタン合金製マフラーは新日鉄住金のものを採用
  • ドライカーボン製のトランクリッド
  • かなり大きなトランクルームを見ると、なんとなくセダンらしさも感じる
  • ボンネットの裏側には「プレミアム・ミッドシップ」の文字が躍る
  • 6本のインマニが光る3.8リッターツインターボエンジン
  • グリルの中央で輝く「GT-R」のエンブレム。2017年モデルはグリルのデザインも変更された
  • GT-Rの象徴、4灯の丸形テールランプ
  • 初代スカイライン2000GT-R(通称ハコスカ)=日産グローバル本社ギャラリー
  • 初代スカイライン2000GT-R(通称ハコスカ)の「GT-R」のエンブレム=日産グローバル本社ギャラリー
  • 2代目スカイライン2000GT-R(通称ケンメリ)。日産でも所有台数はわずか2台=日産グローバル本社ギャラリー
  • 2代目スカイライン2000GT-R(通称ケンメリ)。「GT-R」のエンブレムが光る=日産グローバル本社ギャラリー
  • 3代目のスカイラインGT-R(R32)=日産グローバル本社ギャラリー
  • 3代目スカイラインGT-R(R32)の「GT-R」のエンブレム=日産グローバル本社ギャラリー
  • 4代目のスカイラインGT-R(R33)=日産グローバル本社ギャラリー
  • 4代目スカイラインGT-R(R33)の「GT-R」エンブレム=日産グローバル本社ギャラリー
  • 5代目のスカイラインGT-R(R34)=日産グローバル本社ギャラリー
  • 5代目スカイラインGT-R(R34)の「GT-R」エンブレム=日産グローバル本社ギャラリー
  • 「ニッサン コンセプト 2020 ビジョン グランツーリスモ」=東京モーターショー2015で撮影
  • 「ニッサン コンセプト 2020 ビジョン グランツーリスモ」=東京モーターショー2015で撮影


 4本出しのチタン合金製マフラーや、そのマフラーを冷却するエアダクト、大きなリヤスポイラーも目を引く。スポイラーは高速走行時にダウンフォースと操縦安定性をもたらす、本格スポーツカーのマストアイテムだ。

 このように、GT-Rにはたくさんの空力パーツが取り付けてあるが、先述したように、これらは単なる飾りではない。もちろん見た目にも大きく貢献しているが、大前提として一つひとつのパーツに「整流」「ダウンフォース」「冷却」など機能的な意味があるのだ。

 海外ジャーナリストの中には「GT-Rは見た目がちょっと残念」といった意見もあるようだが、筆者はロボット/メカを思わせるような分厚い車体と直線美を意識した“日本らしい”外観が大好きだ。しかもロー&ワイドの迫力ボディ。「オレがGT-Rだ」と言わんばかりの強烈なキャラが立っていて、どのクルマとも類似しない、ただならぬ存在感を放っている。

 スピードメーターには要注意!?

 次にインテリアをチェックしよう。窓枠のないサッシュレスドアを開けて運転席に収まる。最低地上高110ミリ、全高1370ミリのローボディだが、乗り込む際のぎこちなさや窮屈さは感じない。

 GT-Rは内装も直線基調だ。ダッシュボードなどに高級本革のナッパレザーを贅沢に一枚使いするなど非常にファッショナブルで、高級感にも溢れている。「GT-R」のエンブレムがきらりと輝く本革巻きのハンドルを握ると気分も自然と引き締まる。

 職人による完全手縫いの超肉厚レザーシートは、事前にフィッティングでもしたかのように体の曲線になじむ。GT=グランツーリスモ(長距離走行に適した高性能車両)を名乗るGT-Rだからこそ、スーパースポーツなりに程よい柔らかさのある優しいシートに仕上がっている。しかも、体を動かす運転席とじっとする時間が長い助手席で、シートの硬さを変えるこだわりようだ。もちろんホールド感はバッチリ。体の背後から包み込むようにサポートしてくれる。

340キロのスピードメーターは伊達じゃない

     最後に総評になるが、GT-Rを2日間にわたって試乗した感想は、「グランツーリスモ(GT)とレーシング(R)をバランスよく融合させている」ということ。スーパースポーツとしての驚異的な走行性能はもちろん、安心して長距離走行を楽しめる余裕も感じた。そして、「GT-Rは走っていても止まっていても、人々の視線を惹きつけるオーラがある」ということ。「GT-R」のエンブレムには、スカイライン時代から歴代のGT-Rが背負ってきた伝統と重みを感じた。ブランド力は一日で築くことはできない。GT-Rはサーキットでたくさん勝利し、数々の記録を残してきた。筆者は10年以上にわたる海外生活で、「GT-Rが大好きだ」「日本に行って買って帰りたいくらい」と話すスペイン人やイギリス人、中国人や韓国人をたくさん見てきた。こうした歴史の積み重ねや海を越えて獲得してきた名声があるからこそ、新型GT-Rからオーラを感じることができるのだろう。  こうなると、東京モーターショー2015で展示された「ニッサン コンセプト 2020 ビジョン グランツーリスモ」の今後がどうしても気になってしまう。次期型GT-Rはこんな感じに仕上がるのだろうか。(写真参照)  ちなみに20代の女性社員に「GT-R」と小型車「ノート」の写真を見せながら「ドライブに行くならどっち?」と尋ねたら、「安心して乗れそうなノートです」と即答されてしまった…。さすがの “絶対王者”も連戦連勝とはいかないようだ。(産経ニュース/SankeiBiz共同取材) ■主なスペック 日産GT-R プレミアム・エディション(試乗車) 全長×全幅×全高:4710×1895×1370ミリ ホイールベース:2780ミリ 最低地上高:110ミリ 車両重量:1770キロ エンジン:V型6気筒DOHCツインターボ 総排気量:3.8リットル 最高出力:419kW(570ps)/6800rpm 最大トルク:637Nm(65.0kgm)/3300~5800rpm トランスミッション:6速DCT 駆動方式:4輪駆動 タイヤサイズ:(前)255/40ZRF20 (後)285/35ZRF20 定員:4(2+2)名 燃料タンク容量:74リットル 燃料消費率(JC08モード):8.6キロ/リットル ステアリング:右 車両本体価格:1170万5040円