4本出しのチタン合金製マフラーや、そのマフラーを冷却するエアダクト、大きなリヤスポイラーも目を引く。スポイラーは高速走行時にダウンフォースと操縦安定性をもたらす、本格スポーツカーのマストアイテムだ。
このように、GT-Rにはたくさんの空力パーツが取り付けてあるが、先述したように、これらは単なる飾りではない。もちろん見た目にも大きく貢献しているが、大前提として一つひとつのパーツに「整流」「ダウンフォース」「冷却」など機能的な意味があるのだ。
海外ジャーナリストの中には「GT-Rは見た目がちょっと残念」といった意見もあるようだが、筆者はロボット/メカを思わせるような分厚い車体と直線美を意識した“日本らしい”外観が大好きだ。しかもロー&ワイドの迫力ボディ。「オレがGT-Rだ」と言わんばかりの強烈なキャラが立っていて、どのクルマとも類似しない、ただならぬ存在感を放っている。
スピードメーターには要注意!?
次にインテリアをチェックしよう。窓枠のないサッシュレスドアを開けて運転席に収まる。最低地上高110ミリ、全高1370ミリのローボディだが、乗り込む際のぎこちなさや窮屈さは感じない。
GT-Rは内装も直線基調だ。ダッシュボードなどに高級本革のナッパレザーを贅沢に一枚使いするなど非常にファッショナブルで、高級感にも溢れている。「GT-R」のエンブレムがきらりと輝く本革巻きのハンドルを握ると気分も自然と引き締まる。
職人による完全手縫いの超肉厚レザーシートは、事前にフィッティングでもしたかのように体の曲線になじむ。GT=グランツーリスモ(長距離走行に適した高性能車両)を名乗るGT-Rだからこそ、スーパースポーツなりに程よい柔らかさのある優しいシートに仕上がっている。しかも、体を動かす運転席とじっとする時間が長い助手席で、シートの硬さを変えるこだわりようだ。もちろんホールド感はバッチリ。体の背後から包み込むようにサポートしてくれる。
最後に総評になるが、GT-Rを2日間にわたって試乗した感想は、「グランツーリスモ(GT)とレーシング(R)をバランスよく融合させている」ということ。スーパースポーツとしての驚異的な走行性能はもちろん、安心して長距離走行を楽しめる余裕も感じた。そして、「GT-Rは走っていても止まっていても、人々の視線を惹きつけるオーラがある」ということ。「GT-R」のエンブレムには、スカイライン時代から歴代のGT-Rが背負ってきた伝統と重みを感じた。ブランド力は一日で築くことはできない。GT-Rはサーキットでたくさん勝利し、数々の記録を残してきた。筆者は10年以上にわたる海外生活で、「GT-Rが大好きだ」「日本に行って買って帰りたいくらい」と話すスペイン人やイギリス人、中国人や韓国人をたくさん見てきた。こうした歴史の積み重ねや海を越えて獲得してきた名声があるからこそ、新型GT-Rからオーラを感じることができるのだろう。
こうなると、東京モーターショー2015で展示された「ニッサン コンセプト 2020 ビジョン グランツーリスモ」の今後がどうしても気になってしまう。次期型GT-Rはこんな感じに仕上がるのだろうか。(写真参照)
ちなみに20代の女性社員に「GT-R」と小型車「