トランクルームは深さも確保していて実用的な大きさ。大型のゴルフバッグが3つも入るそうだ。ちなみにGT-Rはパンクしてもしばらく安全に走行できるランフラットタイヤを履いており、スペアタイヤを積む必要がないので、トランクの容量アップと軽量化にも大きく貢献している。このほか車内にも大きめのドアポケットや小物入れなどの収納スペースを設けるなど、2名乗車なら普段使いがしやすい実用性を備えている。ただし、使い勝手に関して(1)コンビニやガソリンスタンドに行くときは縁石の段差に気を付けること(2)駐車場はセキュリティが充実したところを選ぶこと、が重要になる。
目立っちゃってスミマセン
それにしても、特別塗装のアルティメイトシャイニーオレンジはかなり派手なカラーだ。一歩間違えれば「あの色はイタいね」「頑張りすぎて空回り」なんて言われかねないが、GT-Rは不思議と上品な雰囲気を醸し出している。塗装料は32万4000円高とかなり値は張るが、「自分で買うなら思い切ってこの色だな」と素直に思えた。ただし、どこに行ってもメチャクチャ目立つことは覚悟したほうがいい。
実際、信号待ちの間にふと視線を感じて助手席側を見ると、わざわざ店の外に出てきた床屋のおじちゃんがGT-Rをじっと見ていた。さらに店内のお客さんたちもこちらに視線を向けているのには思わず苦笑してしまった。
大学周辺では最寄り駅まで列をなして歩く学生たちから、まるでレッドカーペットを闊歩する大物俳優のように熱視線を独り占めしてしまった(これが嬉しいか恥ずかしいかは人それぞれ。筆者は堂々と走ってみました)。
GT-Rで自宅に戻ったときは、近所のママさんたちに囲まれちょっとした撮影会に。筆者が「GT-Rのこと知ってます?」と質問をすると、「クルマには詳しくないけれど、GT-Rは知ってます」「旦那が憧れていたクルマです」といった声が聞かれた。ママさんたちにも知られていて「カッコいい」「すごい」と超モテモテ。GT-Rのミニカーを持っているという男の子は、目をキラキラと輝かせながらオレンジ色の車体をじっと見つめている。せっかくなので、助手席に乗せてエンジンをかけてあげると大喜び。この子が将来買いたいクルマはもうGT-Rで決まりかな。
最後に総評になるが、GT-Rを2日間にわたって試乗した感想は、「グランツーリスモ(GT)とレーシング(R)をバランスよく融合させている」ということ。スーパースポーツとしての驚異的な走行性能はもちろん、安心して長距離走行を楽しめる余裕も感じた。そして、「GT-Rは走っていても止まっていても、人々の視線を惹きつけるオーラがある」ということ。「GT-R」のエンブレムには、スカイライン時代から歴代のGT-Rが背負ってきた伝統と重みを感じた。ブランド力は一日で築くことはできない。GT-Rはサーキットでたくさん勝利し、数々の記録を残してきた。筆者は10年以上にわたる海外生活で、「GT-Rが大好きだ」「日本に行って買って帰りたいくらい」と話すスペイン人やイギリス人、中国人や韓国人をたくさん見てきた。こうした歴史の積み重ねや海を越えて獲得してきた名声があるからこそ、新型GT-Rからオーラを感じることができるのだろう。
こうなると、東京モーターショー2015で展示された「ニッサン コンセプト 2020 ビジョン グランツーリスモ」の今後がどうしても気になってしまう。次期型GT-Rはこんな感じに仕上がるのだろうか。(写真参照)
ちなみに20代の女性社員に「GT-R」と小型車「