【試乗インプレ】ルックスと空力性能に磨き、贅沢な室内空間 日産の新型「GT-R」(後編) (3/5ページ)

  • ほかのクルマにはない唯一無二のデザイン。これならひと目でGT-Rだとわかる
  • 4つのリング型テールランプと栄光のエンブレムは日産「GT-R」に欠かせないシンボル
  • グリルの開口部を拡大し、冷却風量を最大化している。そこで失われる空力性能を、新たに採用したエアロパーツで補っている
  • 4つのLEDランプから構成されるスーパーワイドビームヘッドランプ
  • 4つのLEDランプから構成されるスーパーワイドビームヘッドランプ
  • 大径20インチのランフラットタイヤを履いている。タイヤの後ろには「GT-R」のロゴと、斜めに走るエアアウトレット
  • 大径20インチのランフラットタイヤを履いている。ブレーキはブレンボ製
  • どの角度から見ても迫力満点
  • 直線的な美しいラインを描くサッシュレスドアとウィンドー
  • 折り目が従来モデルよりもくっきりと入ったボンネット。ボディ剛性のアップに貢献している
  • 専用内装色のタンが映えるGT-Rのインテリア。これはプレミアム・エディションのみ味わえる意匠だ
  • シルプレートに「GT-R」のロゴが光る
  • アルミ製ペダル。もちろんスポーツカーのGT-Rには足踏み式パーキングブレーキなどという馬鹿げたものはありません
  • 2017年モデルは8インチモニターを中央に設置した。エアコン吹き出し口の配置も変えてある
  • ディンプル付き本革巻シフトノブを採用。セットアップスイッチもここにある。ハザードとエンジンスタートボタンが近いのが個人的には気になった
  • インストルメントパネルには、高級本革として知られるナッパレザーを“一枚使い”している。うん、ゴージャス!
  • 運転席の座面は超肉厚。シートヒーターなどの操作スイッチもついている
  • 後席の実用性に期待してはいけない。中央にはBOSE製スピーカーを配置
  • 手縫いのシートステッチ。タブには「Hand Crafted Stitch」の文字。後席中央にはBOSE製スピーカーを配置
  • ちょっとしゃれたドアハンドル。これなら空気抵抗も抑えられる
  • ちょっとしゃれたドアハンドル。これなら空気抵抗も抑えられる
  • 剛性とデザイン性を両立させたレイズ製アルミ鍛造ホイール。ブレーキはブレンボ製
  • ホールド性と座り心地のよさを両立したセミアニリン本革シート
  • 高級感漂う内装。内装色はタン
  • センターコンソールはカーボンを使用
  • セミアニリン本革シート
  • レザーをふんだんに使ったファッショナブルで高級感漂う内装
  • ミラーを通した後方視界
  • カーボン調のコンビメーター。立体的なメーターリングがかっこいい
  • エアコンの操作スイッチと、走りのテイストを自分好みにセッティングできる3つのセットアップスイッチ
  • ナッパレザーインストパネルと、本革巻ステアリング。「GT-R」のロゴが気分を盛り上げる
  • USBを介してスマートフォンの接続も可能
  • 整流効果や熱を逃がす効果を高める2017年モデルのエアロパーツ。4本出しのチタン合金製マフラーは新日鉄住金のものを採用
  • ドライカーボン製のトランクリッド
  • かなり大きなトランクルームを見ると、なんとなくセダンらしさも感じる
  • ボンネットの裏側には「プレミアム・ミッドシップ」の文字が躍る
  • 6本のインマニが光る3.8リッターツインターボエンジン
  • グリルの中央で輝く「GT-R」のエンブレム。2017年モデルはグリルのデザインも変更された
  • GT-Rの象徴、4灯の丸形テールランプ
  • 初代スカイライン2000GT-R(通称ハコスカ)=日産グローバル本社ギャラリー
  • 初代スカイライン2000GT-R(通称ハコスカ)の「GT-R」のエンブレム=日産グローバル本社ギャラリー
  • 2代目スカイライン2000GT-R(通称ケンメリ)。日産でも所有台数はわずか2台=日産グローバル本社ギャラリー
  • 2代目スカイライン2000GT-R(通称ケンメリ)。「GT-R」のエンブレムが光る=日産グローバル本社ギャラリー
  • 3代目のスカイラインGT-R(R32)=日産グローバル本社ギャラリー
  • 3代目スカイラインGT-R(R32)の「GT-R」のエンブレム=日産グローバル本社ギャラリー
  • 4代目のスカイラインGT-R(R33)=日産グローバル本社ギャラリー
  • 4代目スカイラインGT-R(R33)の「GT-R」エンブレム=日産グローバル本社ギャラリー
  • 5代目のスカイラインGT-R(R34)=日産グローバル本社ギャラリー
  • 5代目スカイラインGT-R(R34)の「GT-R」エンブレム=日産グローバル本社ギャラリー
  • 「ニッサン コンセプト 2020 ビジョン グランツーリスモ」=東京モーターショー2015で撮影
  • 「ニッサン コンセプト 2020 ビジョン グランツーリスモ」=東京モーターショー2015で撮影


 速度メーターは時速340キロまで表示してある。写真を見ていただくとわかりやすいが、高速走行時の目安となる「100キロ」の目盛りが、アナログ時計でいう8時の位置にあるため、うっかりしているとすぐに法定速度を超えてしまいそうだ(筆者は普段は80~90キロでおとなしく走るのだが)。しかも最高速度は300キロ超だから、340キロのメーターは伊達じゃない。

 センターコンソールはカーボン素材を使用することで強度アップや軽量化を図っている。新型GT-Rは操作系の配置もよく考えられている。左ひざの横にあるエンジンボタンを押し、ギヤを入れてサイドブレーキを解除するといった左手の一連の動きが、奥から手前に向かってスムーズに行える設計だ。

 カーナビやオーディオは、シフトレバーの左側に置いたダイヤル式コントローラーで操作できる。8インチモニターはタッチ操作にも対応していて使い勝手はいい。アームレスト下にはUSB端子を2つ設置。スマートフォンをつなげば、車内のBOSE製スピーカーで音楽を楽しむこともできる。

 エアコンの直下には、サスペンションの味付けなど車両のセッティングを選択できるセットアップスイッチも配置している。ちょっと残念なことに、スイッチ類を押したときにもう少し高い質感が欲しいと感じたが、ナッパレザーや職人が仕立てた高級シート、カーボンコンソールの使用など至れり尽くせりのしつらえを前にすれば、以て瞑すべしだろう。

 居住性や実用性は?

 前席の居住性はかなり高い。現行型GT-R(R35)は重心を前輪車軸より後ろに置くフロントミッドシップを採用しているが、歴代モデルが採用してきた直6エンジンよりもコンパクトなV6エンジンにツインターボを組み合わせ、トランスミッションを車体後方に移すことで、足元にしっかりとスペースを確保している。頭上も広々としていて、身長172センチの筆者は圧迫感を全く感じなかった。逆に後席は大人がゆったりと座る余裕はない。スペック上は定員4名だが、基本的には2+2シーター。リヤはあくまでオマケと考えるのが無難だ。GT-Rとはそういうクルマ。ただ、もし誰かのGT-Rに同乗するチャンスがあれば「後席で体育座りしてでも数時間乗る価値はあるよ」とオススメしたい。

走っても止まっても注目の的

     最後に総評になるが、GT-Rを2日間にわたって試乗した感想は、「グランツーリスモ(GT)とレーシング(R)をバランスよく融合させている」ということ。スーパースポーツとしての驚異的な走行性能はもちろん、安心して長距離走行を楽しめる余裕も感じた。そして、「GT-Rは走っていても止まっていても、人々の視線を惹きつけるオーラがある」ということ。「GT-R」のエンブレムには、スカイライン時代から歴代のGT-Rが背負ってきた伝統と重みを感じた。ブランド力は一日で築くことはできない。GT-Rはサーキットでたくさん勝利し、数々の記録を残してきた。筆者は10年以上にわたる海外生活で、「GT-Rが大好きだ」「日本に行って買って帰りたいくらい」と話すスペイン人やイギリス人、中国人や韓国人をたくさん見てきた。こうした歴史の積み重ねや海を越えて獲得してきた名声があるからこそ、新型GT-Rからオーラを感じることができるのだろう。  こうなると、東京モーターショー2015で展示された「ニッサン コンセプト 2020 ビジョン グランツーリスモ」の今後がどうしても気になってしまう。次期型GT-Rはこんな感じに仕上がるのだろうか。(写真参照)  ちなみに20代の女性社員に「GT-R」と小型車「ノート」の写真を見せながら「ドライブに行くならどっち?」と尋ねたら、「安心して乗れそうなノートです」と即答されてしまった…。さすがの “絶対王者”も連戦連勝とはいかないようだ。(産経ニュース/SankeiBiz共同取材) ■主なスペック 日産GT-R プレミアム・エディション(試乗車) 全長×全幅×全高:4710×1895×1370ミリ ホイールベース:2780ミリ 最低地上高:110ミリ 車両重量:1770キロ エンジン:V型6気筒DOHCツインターボ 総排気量:3.8リットル 最高出力:419kW(570ps)/6800rpm 最大トルク:637Nm(65.0kgm)/3300~5800rpm トランスミッション:6速DCT 駆動方式:4輪駆動 タイヤサイズ:(前)255/40ZRF20 (後)285/35ZRF20 定員:4(2+2)名 燃料タンク容量:74リットル 燃料消費率(JC08モード):8.6キロ/リットル ステアリング:右 車両本体価格:1170万5040円