速度メーターは時速340キロまで表示してある。写真を見ていただくとわかりやすいが、高速走行時の目安となる「100キロ」の目盛りが、アナログ時計でいう8時の位置にあるため、うっかりしているとすぐに法定速度を超えてしまいそうだ(筆者は普段は80~90キロでおとなしく走るのだが)。しかも最高速度は300キロ超だから、340キロのメーターは伊達じゃない。
センターコンソールはカーボン素材を使用することで強度アップや軽量化を図っている。新型GT-Rは操作系の配置もよく考えられている。左ひざの横にあるエンジンボタンを押し、ギヤを入れてサイドブレーキを解除するといった左手の一連の動きが、奥から手前に向かってスムーズに行える設計だ。
カーナビやオーディオは、シフトレバーの左側に置いたダイヤル式コントローラーで操作できる。8インチモニターはタッチ操作にも対応していて使い勝手はいい。アームレスト下にはUSB端子を2つ設置。スマートフォンをつなげば、車内のBOSE製スピーカーで音楽を楽しむこともできる。
エアコンの直下には、サスペンションの味付けなど車両のセッティングを選択できるセットアップスイッチも配置している。ちょっと残念なことに、スイッチ類を押したときにもう少し高い質感が欲しいと感じたが、ナッパレザーや職人が仕立てた高級シート、カーボンコンソールの使用など至れり尽くせりのしつらえを前にすれば、以て瞑すべしだろう。
居住性や実用性は?
前席の居住性はかなり高い。現行型GT-R(R35)は重心を前輪車軸より後ろに置くフロントミッドシップを採用しているが、歴代モデルが採用してきた直6エンジンよりもコンパクトなV6エンジンにツインターボを組み合わせ、トランスミッションを車体後方に移すことで、足元にしっかりとスペースを確保している。頭上も広々としていて、身長172センチの筆者は圧迫感を全く感じなかった。逆に後席は大人がゆったりと座る余裕はない。スペック上は定員4名だが、基本的には2+2シーター。リヤはあくまでオマケと考えるのが無難だ。GT-Rとはそういうクルマ。ただ、もし誰かのGT-Rに同乗するチャンスがあれば「後席で体育座りしてでも数時間乗る価値はあるよ」とオススメしたい。
最後に総評になるが、GT-Rを2日間にわたって試乗した感想は、「グランツーリスモ(GT)とレーシング(R)をバランスよく融合させている」ということ。スーパースポーツとしての驚異的な走行性能はもちろん、安心して長距離走行を楽しめる余裕も感じた。そして、「GT-Rは走っていても止まっていても、人々の視線を惹きつけるオーラがある」ということ。「GT-R」のエンブレムには、スカイライン時代から歴代のGT-Rが背負ってきた伝統と重みを感じた。ブランド力は一日で築くことはできない。GT-Rはサーキットでたくさん勝利し、数々の記録を残してきた。筆者は10年以上にわたる海外生活で、「GT-Rが大好きだ」「日本に行って買って帰りたいくらい」と話すスペイン人やイギリス人、中国人や韓国人をたくさん見てきた。こうした歴史の積み重ねや海を越えて獲得してきた名声があるからこそ、新型GT-Rからオーラを感じることができるのだろう。
こうなると、東京モーターショー2015で展示された「ニッサン コンセプト 2020 ビジョン グランツーリスモ」の今後がどうしても気になってしまう。次期型GT-Rはこんな感じに仕上がるのだろうか。(写真参照)
ちなみに20代の女性社員に「GT-R」と小型車「