実はトヨタは1994年発売のRAV4で第1次コンパクトSUVブームのきっかけを作ったのだが、今回の第2次ブームでは、すでに国内生産を終了したRAV4の実質的後継モデルであるC-HRが(現時点で)国内最後発なのは興味深い。
後発の強みを生かし、走りにこだわった作りについては前回ほぼベタ褒めしたところだが、外観に関しても、個性的な造形が依然として賛否両論を呼んでいるジュークと同等かそれ以上に「攻め」たデザインを実現したことは評価に値する。
斬新な造形だけに見る人によって好みは分かれるだろうが、ジュークと異なるのは好き嫌いは別にしてそのカッコ良さが否定できないところ。これは、幼少の頃、テレビのアニメや戦隊ヒーローものなどで刷り込まれた、「メカ」の造形に対して誰もが抱いているイメージのエッセンスが、うまくクルマの形に落とし込まれているからではないか。いわゆる「ガンダム顔」である。
作る側も買う側もガンダム世代だから、最近の国産車には「ガンダム顔」が多い…とはよく指摘される。じゃあ、ガンダムっぽくしたから何でもカッコ良くなるかというとそんなことはないわけで、C-HRはかなりバランス良くデザインされていると思う。
このまま戦隊ヒーローものの劇中車として登場しても違和感がなさそうだ。もし私が幼稚園児か小学生で、親が自家用車としてこのクルマを買ってきたら、間違いなく泣いて喜ぶ、否、チビって失神するだろう(効果には個人差があります)。
ま、個人的には、ガンダムよりも実写版「ヤッターマン」に登場した「ヤッターワン」に似てると思いますが。
ナビに時代遅れ感
外装と比べると内装の作りはオーソドックスだ。
ハンドルは目の詰まった上質な本革巻き、他の部分は硬質樹脂と合成皮革の組み合わせだが、ダッシュボード天板を合皮張りにしたり、ドア内張にダイヤ模様に凹凸をつけるなど、比較的安価な素材でも巧みに上級感を演出する仕立てはさすがトヨタ。
ナビ画面は最上部、トレンドに沿った見やすい位置ではあるが、はめ込み式なのは残念。ユーザーの好みに応じて他社製ナビやオーディオを装着できる自由度がある反面、車載コンピューターや各種運転支援機能、ETC車載器との連携など車両システム全体に統合されない(できない)単なるナビ兼リアモニターどまりにならざるを得ない。
あるいは、旧型のプリウスオーナーが、思い切ったデザインの現行型への買い換えを見送ってC-HRのハイブリッド仕様に鞍替えしたケースが多いのかもしれない。インパネデザインもプリウスよりおとなしいし、乗り味の上質さも相まってシニアにも選ばれているのだとしたら、トヨタにとってはうれしい誤算だろう。
もしあなたがC-HRのガソリン仕様購入を検討しているなら、死角をカバーするセンサー類の装備が充実したG-Tが現時点でのおすすめグレードとなる。
ライバルはすばりマツダ・CX-3。後席の居住性、荷室のキャパシティーはどっこいどっこい、乗り味的にはC-HRのほうが洗練度が高いが、注目はつい先日発表されたCX-3の2リッターガソリン仕様。なんと210万円台からという魅力的な価格、四駆仕様でも230万円台だ。
価格的に競合するホンダ・ヴェゼルのガソリン仕様と比べてもエンジン出力とトルクが上回っており、走りの余裕が期待できる。しかもCX-3は死角をカバーするセンサー&アラートが全車標準装備。また、CVTに抵抗がある人にとっては6速ATを採用していることも、大きなポイントになるだろう。
コンパクトSUVは旬のカテゴリーとあって敵もさるもの、さすがに大トヨタもイージーな商売はさせてもらえないということか。そうは言ってもすでにめちゃくちゃ売れてるんですけどね。(産経ニュース/SankeiBiz共同取材)