そしてここからが大問題なのだが、後席窓の小ささが運転席からの後方視界にも悪影響を及ぼしている。しかもリアクオーターウインドー(後部席のさらに後ろ側に設置される小窓)がなく、リアハッチもガラス面積は大きいものの、角度が寝ているので、ルームミラー越しの視界も非常に狭い。
総じて後方は死角が多く、車庫入れや縦列駐車、車線変更時の少なからぬ障害となってしまっている。残念ながら、初心者やペーパードライバー、運転が苦手な人には勧められないクルマと言わざるを得ない。
これらの欠点をカバーするためには、まずリアカメラは必須。できれば左ドアミラー下部にも左前方の死角を写すカメラが欲しい。さらに、左右後方の死角をカバーするセンサー&アラートは下位グレードではオプションでも選べない設定になっているが、これは全車標準装備にすべきだ。
SUVというよりクーペに近い
デザイン優先の弊害はもう一つ。ハッチバックと思って期待すると、荷室が広くない。特に高さ方向が厳しい。トノカバーのフックを外して伏せてみるとよくわかるが、リアガラスからトノカバーの間のスペースが非常に狭い。その割に、床下収納は深さがボチボチある。思うに、構造的にはまあまあのキャパシティーがあるのだが、デザインを優先して、リアハッチ開口部を高くした結果、荷室床面の高さもつられてしまい、妙に深い床下収納と、高さが厳しい荷室になってしまったのではないか。
確かにこれ以上荷室床面を低くすると積み下ろしに支障があるから、やむを得ない妥協点だったのだろう。後席背もたれを倒すだけでフルフラットになるのはせめてもの救い。
使い勝手を総合すると、大人の4人乗車が多いユーザーには向かないが、小学校低学年くらいまでのお子さんがいるユーザー、あるいは2+2的な使い方なら不満は出ないだろう。SUVというよりもクーペに近いクルマととらえるのが現実的と思う。
強力なライバル登場もやっぱりトヨタ無双?
このクルマ、爆売れしているだけあって、街で見かける頻度が高い。この造形と手頃な価格から、若いユーザーが多いかと思いきや、リタイア世代の方がハンドルを握っているケースも珍しくない。
あるいは、旧型のプリウスオーナーが、思い切ったデザインの現行型への買い換えを見送ってC-HRのハイブリッド仕様に鞍替えしたケースが多いのかもしれない。インパネデザインもプリウスよりおとなしいし、乗り味の上質さも相まってシニアにも選ばれているのだとしたら、トヨタにとってはうれしい誤算だろう。
もしあなたがC-HRのガソリン仕様購入を検討しているなら、死角をカバーするセンサー類の装備が充実したG-Tが現時点でのおすすめグレードとなる。
ライバルはすばりマツダ・CX-3。後席の居住性、荷室のキャパシティーはどっこいどっこい、乗り味的にはC-HRのほうが洗練度が高いが、注目はつい先日発表されたCX-3の2リッターガソリン仕様。なんと210万円台からという魅力的な価格、四駆仕様でも230万円台だ。
価格的に競合するホンダ・ヴェゼルのガソリン仕様と比べてもエンジン出力とトルクが上回っており、走りの余裕が期待できる。しかもCX-3は死角をカバーするセンサー&アラートが全車標準装備。また、CVTに抵抗がある人にとっては6速ATを採用していることも、大きなポイントになるだろう。
コンパクトSUVは旬のカテゴリーとあって敵もさるもの、さすがに大トヨタもイージーな商売はさせてもらえないということか。そうは言ってもすでにめちゃくちゃ売れてるんですけどね。(産経ニュース/SankeiBiz共同取材)