【試乗インプレ】気分は「プロジェクトX」 トヨタ記念館で自動車産業の奥の間を覗く (3/5ページ)

  • エントランスホールの中央に鎮座するのは創業者・豊田佐吉翁発明の世界に1台しかない環状織機。日本の機械産業が欧米技術の模倣から脱却したことを象徴する「夢の織機」だ。館内ではレプリカを使った動態展示を見ることもできる。トヨタ産業技術記念館
  • 自動車事業は、米国製の自転車用小型エンジンの分析と評価から始まった。館内には他にも等身大ジオラマがたくさん。無彩色のフィギュアがかえってリアルに感じられ、臨場感を高めている。トヨタ産業技術記念館
  • 自動車用鋼材を研究するための材料試験室。当時の帝大並みの最先端研究機器が備えられた。トヨタ産業技術記念館
  • ボディー試作の様子。板金職人が手叩きで加工している。トヨタ産業技術記念館
  • 治具の上での組み付け途中の様子と、溶接・半田盛り・研磨・塗装を終え完成したボディー。トヨタ産業技術記念館
  • トヨタ自動車を創業した豊田喜一郎の言葉たち。熱い思いが伝わってくる。トヨタ産業技術記念館
  • 印刷資料の展示。創業当時は「トヨダ」だったことがわかる。トヨタ産業技術記念館
  • ロゴデザインの一般公募の結果、社名も濁点をとって「トヨタ」に。創業家を連想させる名から、社会性、普遍性を意識した社名へと変更。トヨタ産業技術記念館
  • 自動車館内部の俯瞰。トヨタ産業技術記念館
  • 手前がエンジン開発の手本とした1933年型シボレーのエンジン。左隣がトヨタ初の自動車用エンジンA型。トヨタ産業技術記念館
  • 初代クラウンに搭載したR型エンジン。トヨタ産業技術記念館
  • ヤマハと共同開発、2000GTに搭載したDOHC直列6気筒エンジン。トヨタ産業技術記念館
  • 壮観!歴代のトヨタ製エンジンがずらり。トヨタ産業技術記念館
  • 初代プリウスPHVのカットモデル。トヨタ産業技術記念館
  • エンジン&モーター。トヨタ産業技術記念館
  • 後席内部の構造が見える。トヨタ産業技術記念館
  • 荷室下のバッテリー。トヨタ産業技術記念館
  • 歴代プリウスのパワーユニット。トヨタ産業技術記念館
  • 後輪駆動の自動車のしくみがわかるベアシャシー。トヨタ産業技術記念館
  • 初代セルシオに搭載された当時最先端のインフォテインメントシステム「エレクトロマルチビジョン」。グローブボックスに据えられているのは車載ファクス。ファクスだよ!トヨタ産業技術記念館
  • シート発展の推移。手前から初代クラウン、初代カローラ、初代セルシオトヨタ産業技術記念館
  • 初代セルシオの樹脂製パーツ93点を平面に展開した展示。トヨタ産業技術記念館
  • 動態展示の一つ、ステアリングナックルの鍛造工程。1トンフリーハンマーは、二人の職人の呼吸が命。トヨタ産業技術記念館
  • 2トンドロップハンマー。トヨタ産業技術記念館
  • 鍛造工程で段階的に変形し、ステアリングナックルの形になっていく様子。トヨタ産業技術記念館
  • AA型乗用車のフェンダー板金工程。トヨタ産業技術記念館
  • 同じく塗装工程。トヨタ産業技術記念館
  • シート、内張の縫製。トヨタ産業技術記念館
  • シャシーとボディーの組み付け。トヨタ産業技術記念館
  • フロントグリル、タイヤ&ホイールが組み付けを待っている。トヨタ産業技術記念館
  • 完成したAA型乗用車。この頃はまだ「トヨダ」だった。トヨタ産業技術記念館
  • AA型乗用車の内装。居心地良さそう。ハンドル下に見えるクラクションがアコースティックなのがかわいらしい。トヨタ産業技術記念館
  • G1型トラック。ドラマ「LEADERS」のポスターがチラリ。トヨタ産業技術記念館
  • ボディーの組み付け自動溶接機。上・後ろ・左右のアームが動いてパーツを組み、自動で溶接する。トヨタ産業技術記念館
  • 溶接完了、クルマらしい形に。トヨタ産業技術記念館
  • 増し打ち自動溶接ライン。自動溶接で組み上がったボディーにスポット溶接を増し打ちし、強度を高める。トヨタ産業技術記念館
  • ボディーの上塗り自動塗装装置。トヨタ産業技術記念館
  • エンジンとシャシーの自動組み付け装置。トヨタ産業技術記念館
  • 実験安全車、ESV。カッコはともかく、今のトヨタの安全技術の礎となった重要なクルマ。トヨタ産業技術記念館
  • たまにはバックショットをお楽しみあれ。トヨタ産業技術記念館
  • いいクルマは背中が語るもんです。多分。トヨタ産業技術記念館
  • おお!左は今話題のFFカムリの初代じゃないすか。トヨタ産業技術記念館
  • 左はレクサスSC、右がここまでパーツ登場ばっかりだった初代セルシオ。トヨタ産業技術記念館
  • ヴィッツの衝突実験車。追突されても後席のスペースは保たれている。トヨタ産業技術記念館
  • こちらはセダン版のプラッツでしょうか。ボンネットは見事に潰れていますが、キャビンは原形を保っています。トヨタ産業技術記念館
  • お隣、繊維機械館の様子。タイムスリップ感はこちらのほうが強いかも。トヨタ産業技術記念館
  • 豊田自動織機製作所創立の契機となり、現在のトヨタグループ生成の礎となったG型自動織機の動態展示。トヨタ産業技術記念館
  • 1890年に豊田佐吉が発明した豊田式木製人力織機のレプリカ。トヨタ産業技術記念館
  • 1896年発明の豊田式汽力織機。トヨタ産業技術記念館
  • 同織機の別アングル。トヨタ産業技術記念館
  • エントランスホールに展示されている環状織機のレプリカ。動態展示。動くのよこれが!トヨタ産業技術記念館
  • 正直どういう仕組みがよくわかりませんが、実に美しい機械です。トヨタ産業技術記念館
  • レンガの外壁が威厳を漂わせるトヨタ産業技術記念館。いい天気


 エンジン、変速・駆動・操舵・制動の各装置、シャーシにサスペンションなど、すべてむき出しのパーツを様々な角度から見ることができる。個人的には差動装置(ディファレンシャルギア)の動態展示が地味ながら一番興味深く、「コレ初めに考えた人、天才!」とちょっと感動。

 エンジンもいいけどメーターもね!~開発技術の変遷~

 「仕組みと構成部品」で見てきた各技術の進歩・発展の道のりを、各時代を代表する実際の部品で追っていく展示。

 かなりのスペースを歴代のエンジンが占め、それはそれで無論ヨダレものなのだけれど、私は(またしても地味だが)メーターパネルの変遷が面白かった。

 シンプルなアナログ指針に始まり、スポーツカーの流行とともに多連メーターの時代が来る。その後、一気にデジタル&電光表示に振れてから、結局またアナログに回帰する。新しい技術というのは、流行の振れ幅が大きく廃れるのも早いけれど、時を経てふるいにかけられ残ったものに真の価値がある、ということを教えてくれるような気がしたのだ。

 ソアラのデジパネ(写真撮りそびれました)はそのデザインの突き抜け方から「バブルだなぁ」という印象が強いが、速度だけデジタル表示というのは、最近のトレンドであるダッシュボード上のオーバーヘッドディスプレイに適した表示方法だったりもするので、派手なだけでなく先見性があったことにも気づかされた。

 自動車とは奇跡の乗り物と見つけたり~生産技術の変遷~

 「創業期」の展示で使われた等身大のジオラマの展示法をここでも展開。トヨタの記念すべき乗用車第1号「A型」の生産工程がリアルに再現されている。

 報道番組の資料映像などでよく見かける高度にロボット化された現代的なオートメーションの動態展示もダイナミックで目を奪われるが、一番感動したのは創業期の鍛造工程を再現した展示。

 クルマを旋回させるために前輪に舵角を付けるステアリングナックルという部品がある。非常に高い強度と耐久性が求められるこの小さな部品を鍛造するプロセスが、等身大ジオラマで再現されている。

トヨタESVなんてクルマあったっけ?