まず感じるのは静粛性の高さだ。サスペンションがしなやかに動き、荒れた路面でもショックが少ない。何よりTYPE Rと共用することを前提として開発され、欧州Cセグと真っ向勝負できる剛性感を持つシャシーとボディーが上質な乗り味を支えていることは、5分も走らせれば感じられる。
173馬力、トルク22.4キロを発生する1.5リッターのダウンサイジングターボエンジンはパワーウエイトレシオ7.5kg/PSと好バランスだ。空転感を抑えた新設計のCVTは違和感が少なく、スバルのリニアトロニックに近いフィーリングで、これならCVTでもいいかなと思える出来。シフトパドルを使ったマニュアル変速も可能で、箱根の下り坂ではエンジンブレーキもよく効いてくれた。
操舵角に応じて切れ具合が可変するハンドルのフィーリングは初期が軽く、徐々に重くなるチューニング。中低速域では自然で扱いやすい印象だった。
ハッチは欧州車レベルのがっしり感
あっという間に30分が経過し、あわてて会場に引き返し、今度はハッチバックに乗り換えて東名高速を走ってみる。
国内生産のセダンに対し、英国で生産されるハッチバックは、走り出しからセダンと印象が異なる。センター2本出しの太いマフラーから奏でられるエグゾーストサウンドは始動から野太く、下っ腹に響く。セダンのタイヤが扁平率55の16インチなのに対し、こちらは40の18インチとスポーティーな組み合わせ。当然乗り心地は硬め、サスペンションの仕立てもよりソリッドに感じられる。トランクが独立したセダンと違って、荷室とキャビンがつながっていることもあり、ロードノイズも増える。要はちょっとうるさくて硬く、快適性は明らかにセダンのほうが上だ。
しかし、料金所を通過して本線に合流、加速を始めるとハッチバックの本領が発揮される。まずオン・ザ・レールの直進安定性に驚かされた。もう完全に欧州レベルと言っていい。ちょうど1週間前に試乗したばかりのルノー・メガーヌGTと比べてもまったく遜色ない。スピードを出すほどに安定して重厚感を増す感じはドイツ車のようだった。
おそらくホンダは、ミニバンやSUVユーザーに乗り換えてもらえるとは端から思っていない。奪いたいのは、VW・ゴルフやルノー・メガーヌの購入を検討しているユーザーだろう。たとえば、シビックハッチバックと同等スペックのゴルフハイラインは346万円、メガーヌGTは334万円。実に50万円以上の開きがある。相手が輸入車ということを割り引いて考えてもお値打ちと言っていいのではないか。