構造的にはキャビンとトランクに隔壁があってリアの開口面積の小さいセダンのほうがボディー剛性は高いはずだが、太いタイヤと引き締まった足回りの仕立ての影響だろうか、直進時のがっしり感はハッチバックのほうが強く印象に残った。
回して楽しいVTECターボ
ハイオク仕様でセダン比9馬力アップしたエンジンは、ターボ過給のおかげもあってスムーズに吹け上がり、追い越し加速でもまったくストレスがない。しかも回転数に応じて吸排気バルブの動きが変わるVTECだから、5000回転を超えても伸びが衰えない。ストレスがないどころか、期待以上にスポーティーだ。絶対的な加速性能はスポーツモデルレベルでないかもしれないが、体感的には十分以上にスポーツしている。メガーヌGTの試乗でも感じたことだが、「これならTYPE R(メガーヌはR.S.)はいらないんじゃない?」とすら思えた。少なくとも日常的にサーキットを走りまくるようなユーザーでなければ、かなり満足できるのではないか。
復路では同行した大竹記者がハンドルを握ったが、サーキット取材で限界スピードに挑みまくっている彼も、「アクセル操作など、ドライバーの入力に対する反応がわかりやすい。接地感がダイレクトで、高速走行時の安心感がすごく高いですね」と高評価したほどだ。MT仕様に乗れなかったのが誠に心残りな、楽しい走りを味わえた。
大人シビックは高いのか
お値段は、セダン265万円、ハッチバック280万円だ。今や背の高い軽やSUV、ミニバンばかりが売れている日本市場に久々の復活ということもあってか、グレード設定はそれぞれ1つのみという地味な売り方なのは、ホンダも需要を読みかねて様子見、ということだろうか。この価格、往年のシビックを知っているユーザーからすると「高い」ということになるのだろうが、車格から見れば妥当な線だと思う。
スバルが米市場に照準を合わせてレガシーをモデルチェンジさせ続けたのと同じように、今のシビックはホンダの世界戦略車でもある。その結果として、新型シビックは欧州Cセグに負けない乗り味を持つクルマに仕上がった。つまり、あの可愛かったシビックは、一時日本を離れた間も海外で揉まれつつ命脈を保ち、立派な“大人”に成長して凱旋帰国したわけだ。
おそらくホンダは、ミニバンやSUVユーザーに乗り換えてもらえるとは端から思っていない。奪いたいのは、VW・ゴルフやルノー・メガーヌの購入を検討しているユーザーだろう。たとえば、シビックハッチバックと同等スペックのゴルフハイラインは346万円、メガーヌGTは334万円。実に50万円以上の開きがある。相手が輸入車ということを割り引いて考えてもお値打ちと言っていいのではないか。