政府・日銀、サミット控えて介入に及び腰 円高進行108円台 

 

 7日の外国為替市場で1ドル=108円台まで円高ドル安が進んだが、政府・日銀内には口先介入や為替介入をためらう雰囲気が漂っている。14、15日に米国で20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が、5月には日本が議長国を務める主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が控えているためだ。為替介入に批判的な米国や欧州への配慮から動きが取りにくい政府・日銀の躊躇(ちゅうちょ)を、市場も見透かしている。

 「為替市場における過度の変動や、無秩序な動きは悪影響を与える」

 菅義偉官房長官は7日の記者会見でこう述べ、急速に進んだ円高を牽制(けんせい)した。財務省幹部も同日「少し偏った動きになっている。場合によっては必要に応じた措置を取る」と述べ、介入の可能性をにおわせた。

 しかし円買いの流れを止める効果は限定的だった。両者の発言後も外国為替市場では、じりじりと円高が進んだ。急速な円高の背景には、米国の早期利上げ観測の後退に加え、日本政府が当面は円売り介入に踏み切りづらい、との市場の見方がある。

 円買いに拍車をかけたのが安倍晋三首相の発言だ。首相は米ウォールストリート・ジャーナルの取材に対し「外為市場で恣意(しい)的な介入は控えるべきだ」と述べた。また、輸出で有利になるよう自国通貨を切り下げる「通貨安競争」は「断じて避けなければいけない」とも語った。5日にこの発言が伝わると、日本政府の為替介入で円安が進むことへの警戒感が薄れ、円高が加速した。

 首相発言の真意について菅氏は7日の会見で「長期にわたり為替の操作を続けていくことは適当ではないと指摘した」と火消しに努めたが、反応は薄かった。

 政府が介入に慎重なのには訳がある。2月に中国・上海で開かれたG20会合では通貨安定に向けた国際協調策が焦点に浮上。来月には、世界経済情勢が最大のテーマとなる伊勢志摩サミットも控えており、米国などの批判を受けかねない円売り介入を打ち出しにくくなっているわけだ。

 だが、円高ドル安の流れが今後も続けば、輸出企業を中心に業績の下方修正は避けられない。景気への影響を懸念する政府・日銀は、相場の動きが急激であれば、為替介入や追加緩和に踏み切る可能性もある。

 ただ、円高是正を狙った政策対応の是非については「国際的な理解が得られるほどの円高ではない」(市場関係者)との指摘も根強い。政府・日銀はサミットを前に難しいかじ取りを迫られている。(今井裕治)