台湾加盟見送りの背景に「一つの中国」圧力 ケニアでは台湾人45人、中国に強制送還

アジアインフラ銀

 台湾がAIIB加盟見送りを決めた背景には、民主進歩党の蔡英文政権が5月に発足するのを前に、中国側が民進党に「一つの中国」原則を認めるよう圧力を強めていることがある。

 台湾当局は12日までに、ケニアで詐欺事件に関与した台湾人計45人が、中国に強制送還されたとして中国側に抗議。中国外務省が、送還を「各国が『一つの中国』政策を堅持している」と評価したことにも反発している。今月7日には、台湾の交通部長(国土交通相)が、1月の総統選後、中国大陸からの観光客が減少していることを認めた。

 一連の出来事が中台関係に及ぼす影響は今のところ限定的だ。だが、冷却化し始めた中台関係の原因が、蔡主席が「一つの中国」原則に基づく「1992年コンセンサス(合意)」を認めないことにあるとの認識が台湾内部で広まるよう、中国側は意図的に問題を起こしているとみられる。

 「台湾はすでに独立した国家だ」とする民進党が、92年合意をそのまま受け入れることはほぼ不可能だ。ただ、中国側は、5月20日の総統就任演説で蔡主席が譲歩するよう、圧力をかけ続けるとみられる。(台北 田中靖人)