震災の水産特区でカキを育てる 漁師15人と会社立ち上げ 大山勝幸さん

 
震災の水産特区で漁民会社を立ち上げ、カキを育てる大山勝幸さん

 東日本大震災で津波に集落を流された宮城県石巻市の桃浦。あれから5年がたち復興した漁港の脇には2階建ての白い作業所が完成し、漁師が最新鋭の高圧処理機を使ってカキの殻をむく。

 「震災の半年後に沖で育つカキの稚貝を見つけ、もう一度みんなで養殖をやろうとなった。村井嘉浩知事の特区構想のおかげです」

 平均年齢は60歳を超え、資金も十分ではない。民間参入を促す「水産業復興特区」に手を挙げたが、県漁協に「企業が浜へ入ると、漁業秩序が守られない」として猛反対された。

 それでも「浜の自治を認めてほしい」と訴え、卸大手の仙台水産が「被災した仲間として苦境を察する」(島貫文好会長)と資本提供を申し入れ、2012年夏に「桃浦かき生産者合同会社」の立ち上げにこぎ着けた。

 本人の肩書は代表委員だが「一人の作業員としてカキを水揚げして殻をむくのが仕事」と穏やかな表情で話す。カキ漁師の家に5人兄弟の末っ子として生まれた。高校を卒業後、サラリーマンを経験してから家業を継いだ。

 浜の漁師15人で始めた会社も、パートを含め計42人に成長した。自慢のカキは大粒で、うまみ、香りがいつまでも口の中に残ると定評がある。

 「桃浦は桃源郷が地名の由来。ブランドカキを育てて外から新しい人に来てもらい、集落の再生も図っていければ」

 自宅は仙台市内に移したが、桃浦の宿舎に単身赴任して、故郷の未来に思いをはせる。