韓国のカリスマも認めた! 気持ちいい…メード・イン・ジャパンのスゴ技
理美容室の機器やシャンプー類などを幅広く手掛ける「美」の総合メーカー、タカラベルモント(大阪市中央区)が、海外展開を加速させている。とくに理美容室用の椅子(いす)の販売に力を入れており、お隣の韓国では高級サロンの代名詞ともいえるブランドに育ったヒット製品も登場している。世界の理美容業界でメード・イン・ジャパンが存在感を高めている。(栗井裕美子)
極上の寝心地
ソウル市内にある人気美容院「calm’s(カルムズ)」。シャンプー台では、数人が頭皮マッサージを受け、スタッフが慣れた手つきで両手を円を描くように動かしていた。
この美容院の名物という頭皮のマッサージ「ヘッドスパ」。サロン院長、李相和さん(41)は約10年前からヘッドスパを始め、韓国ではヘッドスパのカリスマとして雑誌などで紹介されている。
1回当たり約1万~1万2千円と他店のサービスと比べて割高だが、月2回通う常連客の中学教諭の女性(35)は「すごく気持ちがよくていつも寝てしまう。頭痛がなくなるし、髪にも良い」と満足げだ。
李さんによると、店の売り上げはヘッドスパの導入前に比べて約1・5倍に増えた。その約3割がヘッドスパの利用によるものという。李さんは「客単価が上がった。椅子に腰掛けて作業ができるのでスタッフからの反応もいい。確かに椅子は高価だったが、見合った価値がある」と話す。
世界初でブランド力
このヘッドスパは、タカラベルモントが美容院用の椅子「YUME(ユメ)」シリーズなどの開発とともに提案した新サービスだ。椅子には長時間寝ても客の首が疲れないよう設計し、シャンプー台を大きくすることでマッサージができるようにした。心地よさに感動した韓国の芸能人が「ユメのないところには行かない」と理美容機器のイベントで発言し、注目度が上がったといわれる。
ユメシリーズのような質の高い製品を武器に世界展開を進め、韓国以外でも米国や中国などで高級サロンの御用達としての地位を築いているという。現在の理美容の業態が発祥した欧州ではブランド力のある老舗企業が多いため、高級路線のほかに低価格製品も投入する戦略でシェア拡大を目指す。
同社の海外進出の歴史は古い。昭和31年に米国に現地法人を設立し、その後もパリやロンドン、ソウルなどに現地法人を設立するなどした。そして画期的な製品を開発することで海外展開に弾みをつけた。
昭和37年には、電動で昇降する理容室向け椅子を世界で初めて開発。重いレバーで椅子を上下する必要がなくなり、ハサミやクシなど細かな指先の感覚が求められる理美容師にとって、負担を軽減する画期的な機器として瞬く間に普及したという。
平成元年には、パーマ液の浸透などに使用する遠赤外線装置を大幅にモデルチェンジ。従来品は頭部をすっぽりと包むタイプだったが、リング状を実現した。見た目がオシャレで、扱い方も簡単なため大ヒットした。
ユメなどシャンプーをしながら頭皮をマッサージするヘッドスパは14年に開発して評判となっている。人間工学に基づいて背もたれの角度や枕の位置などに研究を重ね、極上の座り心地や寝心地を追求してきたノウハウが遺憾なく発揮された。
途上国で先手
画期的な製品で欧米などで地位を得ている同社が現在、注目しているのはアジア市場だ。ベトナムに工場を新設し、シンガポールに現地法人を設立するなど態勢を強化している。
ベトナム工場でコストダウンを実現し、質の良い製品を比較的安く市場に投入していくことで、中国などの新興企業が台頭し、認知度を高める前に市場を確保しておく戦略だ。
アジアの途上国も経済発展とともに生活が豊かになれば、理美容業の市場も大きくなる。同社の吉川秀隆会長兼社長は「美しく健康でありたいというのは地球上に生きるすべての人の永遠の願望」と話し、今後も世界的に「美」を行き渡らせるため海外展開を続けていくという。
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