21万社の情報を公開、日本関連は600件…丸紅、伊藤忠、楽天の三木谷氏
パナマ文書の衝撃
パナマ文書の流出元となった法律事務所「モサック・フォンセカ」が入居するビル=9日、パナマ(ロイター)
【ワシントン=小雲規生】国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は9日、パナマ文書問題に関連し、パナマや英領バージン諸島など世界21カ所のタックスヘイブン(租税回避地)に設立された約21万4千社の法人と、関連する約36万の企業や個人の氏名、住所のデータベースをホームページ上で公開した。日本関連とみられる個人や法人名約600件も含まれていた。租税回避地での法人設立自体は合法だが、資金洗浄(マネーロンダリング)や資産隠しなどに悪用されている可能性がある。
パナマ文書は26、27両日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)でも主要な議題になり、具体策が協議される見通しだ。
ICIJは2013年に公表した租税回避地の利用法人のデータベースにパナマ文書に基づく情報を追加。法人名や関連する個人の氏名、住所で検索することができる。日本企業では大手商社の丸紅、伊藤忠商事や、インターネット通販大手、楽天の三木谷浩史会長兼社長の名前が記載されているが、いずれも合法的な行為だったとしている。
ICIJはデータベースを規制当局や一般市民がチェックすることで、新たな事実が見つかる可能性があると期待する。ただし文書に含まれていた銀行口座や金融取引の内容、電子メールでのやりとりなどは公開していない。
パナマ文書は租税回避地での法人設立に関わるパナマの法律事務所から流出した資料。ICIJは約80カ国の100を超える報道機関とともに調査を進め、4月に文書の存在を明らかにした。これまでに資産隠し疑惑が持ち上がったアイスランドの首相が辞任に追い込まれたほか、英国のキャメロン首相も租税回避地での金融取引で利益を得ていたことが分かっている。
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