英国「EU離脱」なら日本市場大混乱 円相場は?株価は?…市場関係者が分析

 
英EU離脱問題についての市場関係者の見方

 英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う23日の国民投票に世界の市場関係者が注目している。最近は残留派の巻き返しが相次ぎ伝えられているが、結果は予断を許さない。EU残留が決まればポンドやユーロが買われて円は売られ、株価が上昇しそうだ。逆にEU離脱が多数なら、投資家のリスク回避姿勢が大きな波となって押し寄せ、大きな混乱が避けられない。

 20日は、英国のEU離脱への過度な懸念が和らいだとして世界的に株高となった。続く21日も日経平均株価が3日続伸し、終値としては6営業日ぶりに1万6000円台を回復した。

 残留が多数となれば、投資家がリスクを取りやすくなる。ポンドやユーロが買い戻される一方で、比較的安全とされる円は売られそうだ。リスク資産とされる株式が買われて世界で株高が連鎖し、日経平均株価は1万6000円台後半まで上昇するとの見方がある。

 ただ円相場は、1ドル=110円を超す大幅な円安はすぐには見込めないとの声もある。米国はドル高要因となる追加利上げを緩やかに進める方針で、「ドルを買う理由に乏しい」(岡三オンライン証券の武部力也投資情報部長)ためだ。

 21日の東京市場でも朝方に一時1ドル=103円58銭まで円高ドル安が進むなど円高圧力はまだ根強い。三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは「1ドル=110円の回復に向かうかどうかは米国景気や政府・日銀の政策対応次第」と語る。

 一方、足元の株式相場は「残留をだいぶ織り込んできている」(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)。それだけに国民投票で離脱が多数となれば、世界の金融市場に広がる衝撃は増幅される。

 離脱が多数なら「ポンドが一段と売り込まれ、その反対側で円買い圧力が強まる」(三井住友アセットマネジメントの市川氏)。円相場は2013年11月以来となる1ドル=100円割れが現実味を帯びそうだ。

 平均株価も2月12日の年初来安値(1万4952円61銭)を更新する可能性が出てくるが、「下がったところを買う個人投資家の動きが期待され、いったん下げ渋る可能性がある」と松井証券の窪田氏はみる。

 国民投票の結果は、日本時間の24日昼ごろに大勢が判明する見通し。世界の主要市場で最も早く反応を迫られるのが東京市場となりそうで、市場関係者の間で緊張感が高まっている。