講演する日銀の黒田総裁=20日午後、東京都港区【拡大】
日銀の黒田東彦総裁は20日、慶応大で講演し、日銀が掲げる2%の物価上昇率目標について、「2年程度での実現はできなかった」との認識を初めて示した。その上で、期限を示した理由について「5年先なのか、10年先なのか、時期を定めないと、実現に向けた(具体的な)政策が決まらない」と説明した。
平成25年4月に日銀が大規模な金融緩和を実施した際、当初は「2年程度で2%の物価上昇率目標を実現する」としていた。この表現は撤回していないが、達成時期については先送りを繰り返しており、目標時期は「29年度中」としている。
黒田総裁は講演で、デフレからの脱却を実現するため「(時期を明示する)プラス効果は十分にあった」と強調した。
また、これまでの金融政策について「2%目標を実現するために、量的・質的金融緩和を導入した後も、必要となれば常に追加的な措置を取ると一貫して主張してきた」と強調。その上で、金利引き下げ効果を「一段と強化する」ためにマイナス金利政策を2月に導入したと説明した。