子育て世代に将来の不安、消費低迷が足かせ 経済財政白書

 

 石原伸晃経済再生担当相は2日の閣議に平成28年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。白書は、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」によって雇用や所得環境が改善する一方、子育て世代の将来不安などで個人消費が弱く、景気回復の足かせになっていると指摘した。こうした将来不安の解消のためには、同一労働同一賃金の導入や働き方の多様化などを通じた労働環境の整備が重要と強調した。

 白書は日本経済については「緩やかな回復基調が続いている」とする一方、英国の欧州連合(EU)離脱問題などにより世界経済のリスクが高まっていることや国内需要が力強さに欠けていることで、「一部に弱さがみられる」とした。

 個人消費については、賃金の総額を示す「雇用者報酬」に占める消費支出の比率が下がっており、賃上げにもかかわらず「消費は力強さに欠ける」と指摘。

 原因として、エコカー補助金などの政策による需要の先食いや26年4月の消費税増税の悪影響のほか、39歳以下の子育て世帯、60歳代前半の無職世帯の節約志向があるとした。

 子育て世帯については、非正規雇用者の比率が高く、保育料や教育資金、社会保険料などの負担が発生する中、「将来も安定的に収入を確保できるのか」という不安が強いとした。

 こうした不安を解消するには、賃上げの動きを続けるとともに、同一労働同一賃金の実現で正規、非正規の格差を是正することが重要と指摘。また、出産や育児、介護と仕事の両立が可能になるよう、「テレワーク」「フレックスタイム」などを導入して働き方を多様化するとともに、保育所や学童保育の整備を進めるべきだとした。

 また、60歳代前半の高齢者に関しては、定年退職などで勤労所得がなく、年金といった安定収入が少ないとし、定年延長や再雇用で就労参加を進めることが消費の下支えになるとした。

 このほか白書は、労働環境の整備が、景気回復や団塊世代の退職で拡大している人手不足の緩和と、日本経済の成長力向上につながると指摘。企業の設備投資が弱いことにも触れ、政府の成長戦略の実行で日本経済の成長予想を高め、投資拡大につなげることが必要とした。