概算要求基準、歳出総額の上限なし 子育ても介護も充実で膨張の恐れ

 
臨時閣議に臨む安倍晋三首相(中央)ら=2日午後、首相官邸(斎藤良雄撮影)

 2日に閣議了解された平成29年度予算の概算要求基準では、4年連続で歳出総額の上限設定を見送った。景気の変動などに対応し、メリハリのある予算を実現するためだ。ただ高齢化の進展で社会保障費の増加が続いている上、政府は子育てや介護などの施策も充実させたい考えで、歳出膨張圧力が強まっている。

 安倍晋三首相は29年度予算で看板政策の「1億総活躍プラン」に盛り込んだ保育・介護士の処遇改善(必要額2千億円)などの実施を明言。経済財政諮問会議の民間議員は財源として、アベノミクスによる税収増の活用を提言していた。

 だが、麻生太郎財務相は「安定財源が必要」と反論。最終的に基準では「予算編成過程で検討」するとした。消費税率10%への引き上げ時に予定していた年金受給資格期間短縮(同650億円)の実施なども財源は確定しておらず、年末にかけた編成作業で捻出する必要がある。

 政府は主に税収で政策経費が賄えるかどうかを示す基礎的財政収支を32年度に黒字化する目標を掲げる。ただ内閣府は、高成長で税収が増加したとしても32年度に5.5兆円もの赤字が残ると試算する。

 一方、麻生氏は2日、超低金利状況を活用し、40年債の発行増額を検討することを明らかにした。経済対策の財源などに充てられる見込みだが、年間の国債発行総額は維持するという。ただ超低金利で国債発行のハードルが下がれば、財政規律が緩んで歳出改革がおざなりになる恐れもある。

(中村智隆)