「古い自民党」型の財政出動目立つ 慶応大経済学部・土居丈朗教授

 

 消費税増税を先送りしながらも2020年度に基礎的財政収支を黒字化する財政健全化目標を達成するため我慢していた歳出が一気に吹き出した印象だ。公共事業や低所得者向け給付金など「古い自民党」型の財政出動が目立つ。デフレ脱却という本来の目的と整合的な一貫性ある支出になっているかというと、そうではない。

 デフレ脱却には供給側に働きかける財政出動を行い、生産性向上→賃金上昇→消費回復→デフレ脱却へとつなげていく必要がある。給付金はなくなってしまえば元のもくあみになる。

 介護士や保育士の処遇改善も、きちんと恒久的財源を確保して続けていくものにしないと一時しのぎで終わってしまうだろう。