初討論会でクリントン氏優勢も、行方は「予測不能」…従来と異なる価値観の有権者
米大統領選米大統領選の投票日(11月8日)まで約6週間。「予測不能」な選挙の行方に大きな影響を及ぼすテレビ討論会の第1回は、民主党候補ヒラリー・クリントン前国務長官と、共和党候補ドナルド・トランプ氏の支持率が拮抗する状況の下で開かれた。
双方ともに発言が新味を欠いた討論会が改めて鮮明にしたのは、米国の針路をめぐる相違だった。内外の融和と協調、安定を指向するクリントン氏と、「米国第一主義」の名の下に孤立・保護主義的な政策を取るトランプ氏という構図だ。
両氏が言及した日本の立場からすれば、クリントン氏の政策の方が望ましいことは明らかだろう。北朝鮮の核問題の解決を「中国任せ」にし、米国の関与を弱めるとも受け取れる発言も、気がかりだ。
有権者が目をこらしたのはしかし、立ち居振る舞いを含む「大統領の資質」だったに違いない。トランプ氏は、機関銃のようにまくし立てる「トランプ節」をうならせ、クリントン氏の方は笑顔を交えながら、努めて冷静に振る舞っているように映った。
資質の一つの要素である「経験」をめぐる応酬も、討論の基調を成した。トランプ氏が、クリントン氏の国務長官時代の経験と実績を、オバマ政権の「失策」と結びつけて批判すると、クリントン氏は反論して正当化するといった具合だ。
今回の選挙が「予測不能」な理由の一つは、トランプ氏の支持者という確たる有権者が、「良識」といった従来の基準、価値観とは異なる資質を受容していることにある。
米CNNテレビによると、有権者はひとまずクリントン氏に軍配を上げたようだが、討論会の結果が実際に支持率にどう反映されるかは、今後の世論調査を待たなければならない。
だが、その結果に一喜一憂するのは早計だろう。今年を除く過去11度のテレビ討論会の第1回目で支持率を上げながら、結局、敗北した候補は7人を数える。残る2回の直接対決では依然、5人に1人とされる浮動票への訴求がカギを握りそうだ。(ワシントン 青木伸行)
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