小型家電リサイクル、普及が足踏み 資源価格の下落で自治体が悲鳴
多くの再利用可能な資源を含むことから「都市鉱山」と呼ばれる小型家電のリサイクルの普及が進んでいない。地方自治体の人手や財源が不足していることに加え、使用済み製品から得られる鉄や銅の急激な価格下落が妨げとなっている。自治体からは「下落が続けば制度自体が危うくなる」と悲鳴も上がる。回収コストの削減や、携帯電話などの情報漏洩(ろうえい)対策が急がれる。
国の回収目標先送り
小型家電リサイクル制度は、市区町村が回収して国が認定するリサイクル業者などに引き渡すか、認定業者が直接回収する仕組み。
環境、経済産業両省の調査によると、小型家電リサイクル制度に基づき、2015年度に回収・再資源化された携帯電話やパソコンなどは、使われなくなった小型家電の総量の約1割に当たる6万6000トン。両省は、制度導入3年目の15年度までに達成するとした年間14万トンの廃棄物をリサイクルする目標を、18年度へ先送りした。
制度に参加する自治体(4月時点)は1219で、全市区町村の7割にとどまった。回収に必要な人手や財源、一時保管場所の確保の難しさから、取り組みにばらつきがある。「組織体制的に困難」「事業コストが高い」。4月時点で小型家電リサイクル制度を「実施未定」「実施しない」とした408自治体から寄せられた主な理由だ。再資源化事業の採算性の悪さや、引き渡せる業者がいないことを挙げた自治体も目立った。
リサイクル業者が引き取りに消極的になっている背景には、世界経済の減速に伴う需要減で、制度開始当初には想定できなかった資源価格の下落がある。環境省によると、再資源化される金属全体の90%近くを占める鉄は、5年前と比べマイナス58%。銅は53%、銀も34%下がった。
収集運搬や一時保管にかかる費用を差し引くと、業者が赤字になるケースも多い。経産省が認定業者を対象に実施したアンケートでは約60%が「採算が取れない」と回答。ある自治体の担当者は「今後も資源価格が下がり続ければ、業者のコストの一部を負担せざるを得ない」と懸念する。
こうした中、業者へ多くの廃棄物を効率的に引き渡すため、回収方法に工夫を凝らす自治体も出ており、環境省はモデル事例として全国への拡大を目指している。
専用ボックス奏功
岡山市は、公共施設や家電量販店など100カ所以上に専用ボックスを設置。回収や運搬を認定業者が直接担うことで、市の負担を抑えつつ、回収量を増やすことができた。長野市や京都市も、電器店と提携した取り組みで実績を上げている。
隣接する福島県桑折町と国見町は昨年度、共同で収集運搬する実証事業に取り組み、費用が単独で実施する場合の3分の1程度に減った。
環境省は、携帯電話などの個人情報漏洩防止策として、専用ボックスによる回収以外に、一般ごみと一緒に集めるピックアップ方式の導入を後押ししている。自治体が直接集めることで、住民に安心して廃棄してもらう狙いだ。宅配便を利用して認定業者に直送できる仕組みを設ける自治体も多い。
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