29年春闘、ベアめぐり温度差 労働側に続き、経営側方針固まる
労使双方の平成29年春闘方針がほぼ固まった。景気の好循環を実現するために、労使とも賃上げの必要性では一致したが、従業員の基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)についてはやや温度差もある。労働組合の中央組織である連合はベアに強くこだわる半面、経営側の指針をまとめる経団連は年収ベースの賃金引き上げを基本とし、ベアには一定の距離を置く。安倍晋三首相によるベア要請を受け、経団連は政府に一定の配慮をする考えだが、今後の労使協議にどう反映されるかは不透明だ。(平尾孝)
経団連は、経営側の指針となる「経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」の最終案を会長・副会長会議で了承し、来週正式決定する。同様に連合も労働側の春闘方針となる「連合白書」を発表した。ともに賃上げは、デフレ脱却を進めるためにも欠かせないとの認識で一致した。
しかし賃上げの手法についてはやや温度差がある。連合は「ベア2%程度を基準として、定期昇給を含め4%程度の賃上げ」を求めた。一方、経団連の経労委報告は「収益が中期的に改善する企業は年収ベースの賃金引き上げ」と明記したが、ベアについては、賃金引き上げの手法の柱と位置付けたものの、具体的な数値目標は示していない。
安倍首相は経済界に対し、29年春闘で「少なくとも28年並みの水準の賃上げを期待したい」とした上で、4年連続のベア実現も求めた。経団連はベアについて昨年よりも「踏み込んだ」(榊原定征会長)表現とし、歩調を合わせる姿勢を示した。だが、企業は将来の人件費上昇につながるとして、ベアには慎重だ。
労使とも29年春闘方針には、過去3年間の春闘の総括も盛り込んだ。連合は過去の白書で「経済の好循環の実現」を盛り込んでいたが、今年はこの表現を取りやめた。連合は29年春闘が「再びデフレの深い闇に舞い戻るかどうかの分水嶺」と位置付け、これまで以上に強い危機感で、交渉に臨む姿勢を明確にした。
一方の経団連は過去3年間、高水準の賃上げを実施したにもかかわらず、社会保険料の上昇などで賃上げ分が相殺され、消費に回っていないと分析。政府に対し、社会保障制度改革の断行を求めた。経団連の榊原会長と連合の神津里季生会長らは、来月上旬に会談し、29年春闘が本格スタートするが、労使交渉は例年以上に厳しいものとなりそうだ。
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