日本の研究開発投資 高水準でも生産性が向上せず 規制緩和や意識付けが重要に
日本の研究開発投資が、人工知能(AI)など第4次産業革命への対応が進む米国、ドイツより高水準にもかかわらず、生産性や企業の収益性の向上につながっていないことが17日、内閣府の調べで分かった。名目国内総生産(GDP)に占める研究開発投資の比率は米独の1・2~1・3倍だが、生産性と収益性を示す指標はいずれも両国を下回る。研究開発投資の効率性を高めることが急務だ。
内閣府が、同日公表した報告書「日本経済2016-2017」で明らかにした。それによると、日本の研究開発投資費が名目GDPに占める割合は、平成12年以降3%台で推移。2%台にとどまる米独を上回る。
一方、労働や資本などを含む全ての要素を投入したときの生産の効率性を示す「全要素生産性(TFP)」(12~26年の平均)は、研究開発投資が1%伸びた場合、日本は0・20%上昇したが、米の0・35%、独の0・28%より低かった。
また研究開発費が1%増えたとき、企業の営業利益が何%増えたかを示す「感応度」は日本は0・13%。これに対し米0・55%、独0・33%と、日本では研究開発投資が生産性や収益性に結びつきにくい実態が浮かび上がった。
この背景について、内閣府は、日本企業が新事業を生み出すより、既存事業改良のための研究開発に力を入れる傾向があると指摘。他の企業や大学のアイデア・技術を取り入れる「オープン・イノベーション」に消極的なことも挙げた。
研究開発投資は技術革新を生み出す“種”として、近年、国際的に重視されている。各国は、研究開発費を新たに「投資」として算入する新基準のGDPを採用しており、日本も28年7~9月期の改定値から対応した。
29年度予算案でも研究開発投資を重視。「潜在成長力を高めるため、科学技術とイノベーションが大切」(石原伸晃経済再生担当相)として、科学技術振興費を前年度比0・9%増となる1兆3045億円計上した。
課題は、企業の行動をどこまで変えられるかだ。明治安田生命保険の小玉祐一氏は「より生産性向上が期待できる分野へ企業が参入できるよう、政府は規制緩和を進めるべきだ」と指摘。政府が企業への発注時に最先端AI技術の使用を求めるなど「意識付けも重要」としている。(山口暢彦)
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