なお見えぬ経済への影響 具体策を示さず

トランプ大統領始動
道頓堀でトランプ米大統領の就任を報じる街頭テレビ=21日午後、大阪市中央区(永田直也撮影)

 トランプ米新大統領は20日、経済政策については環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱などを打ち出すにとどまり、景気浮揚が期待される減税やインフラ投資の具体策には踏み込まなかった。トランプ氏がこれまで公言してきた政策は、世界経済にとってプラスとマイナスの両面が混在し、日本への影響も不確実だ。(山口暢彦)

 「米国製品を買おう。米国民を雇おう」。トランプ氏は就任演説でこう呼びかけた。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の福田圭亮氏は「予想以上に保護主義的な色が強かった。米国以外はマイナスに受け止めたのではないか」と分析する。

 トランプ氏は中国を「為替操作国」と批判し、45%の高関税をかけると主張。「米中貿易戦争」(みずほ総合研究所)が過熱すれば、中国経済の減速につながり、対中輸出が年間13兆円に上る日本経済への打撃にもなる。貿易戦争の「標的」が他の国・地域に及ぶ可能性もありそうだ。

 TPP離脱や北米自由貿易協定(NAFTA)見直しは世界の自由貿易機運を後退させる。貿易量の減少や世界経済の成長低下を招きかねず、反グローバリズムが欧州など世界へ広がる恐れもある。大和総研の児玉卓氏は「(リスクは)挙げればきりがない」としている。

 一方、トランプ氏の唱える減税やインフラ投資には、米国だけでなく、世界や日本の景気にも好影響を及ぼすとの期待が強い。

 トランプ氏は連邦法人税率を35%から15%に引き下げると主張。インフラ投資は10年間で1兆ドル(約114兆円)とする。経済協力開発機構(OECD)は昨年11月、こうした景気対策を踏まえ、世界経済の2017年の成長率見通しを3.2%から3.3%へ引き上げた。

 ただ、減税やインフラ投資の規模については、トランプ氏と与党・共和党の思惑に隔たりがある。トランプ新政権の具体的な政策の内容は、2月以降の一般教書演説や予算教書演説などを通じて明らかになっていく見通しだ。