トランプ政権通商政策のキーマン、「弱腰外交」から脱却を主張
日米首脳会談が10日に迫るなか、米トランプ政権の通商政策に日本政府が神経をとがらせている。政権の通商戦略の司令塔となる新設の「国家通商会議」委員長に就任したピーター・ナバロ氏らが昨年9月に発表した論文では、貿易赤字を抱える相手国として日本、中国など6カ国を名指しで批判。今後の日米交渉で円安ドル高の是正を強硬に求めてくる可能性もあり、政府は対応に苦慮しそうだ。
論文は大統領選中、トランプ陣営の政策立案に携わったナバロ氏と商務長官に就任予定のウィルバー・ロス氏が共著で発表した。両氏はトランプ政権の通商戦略を左右するキーマンとされる。
通商政策が専門のナバロ氏は日本政府内で「(日米貿易摩擦が激化した)1980年代にもあんなやつはいなかった」(通商筋)とささやかれるほどの強硬派だ。ロス氏は投資家として多くの企業再建を手がけ、知日派としても知られている。
論文は、米国の慢性的な貿易赤字の解消が米国経済の成長につながると主張。米国の貿易赤字のうち「約半分」を、カナダや中国、ドイツ、日本、メキシコ、韓国の「たった6カ国で占めている」と批判した。貿易赤字拡大の原因には、通商交渉におけるオバマ前政権などの「まずい交渉」があるとして、「弱腰外交」からの脱却を主張。トランプ政権は各国との2国間での「強硬で賢い交渉」を通じ不均衡を是正していくと訴えた。
論文は、赤字の原因として相手国の「為替操作」も問題視した。典型国として中国を挙げ、「(人民元売りとドル買いにつながる)米国債購入で元を安くしている」と批判。ドイツ、日本も同様に米国債を買っているとして同列視した。さらに中国に関しては「違法な輸出品への補助金」といった「不公正な貿易取引」で、対米貿易黒字を膨らませていると非難した。
日米首脳会談では貿易不均衡がテーマとなる見通しだ。トランプ政権の通商戦略のキーマンの論文からは、不均衡是正に向けた厳しい要求も想定される。市場関係者からは「日本を為替操作国に認定し、日銀の金融政策の修正などを求めてくるのではないか」と懸念する声も上がる。
円安の急激な是正は輸出企業に打撃となり、デフレ脱却を進める日本の成長戦略を腰折れさせかねない。(山口暢彦)
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■ナバロ氏、ロス氏の論文のポイント
▽貿易赤字の解消が米国の経済成長につながる
▽米国の貿易赤字のうち半分を日本、中国など6カ国が占める
▽オバマ前政権のまずい交渉が貿易赤字を拡大。トランプ政権は強硬な交渉を進め、貿易不均衡を解決する
▽為替操作国や不公正な貿易取引をする国があることも米国の貿易赤字の原因。典型国は中国
▽ドイツや日本も為替に関しては中国と同様だ
▽「為替操作国」と認定した国に対しては対抗的な関税措置をとる
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