◆問題点の混同
本来は、納税者に「中立」なはずの税法が、実際には税務局との交渉術が重要となっています。
中国では「送金が難しい」「税金を払わないと送金できない」とよく言われますが、中国の外貨管理は「対外送金」(中国本土から国外へ送金する)について厳格な規制を設けて自由な送金を認めていません。
一方、送金できるケースでも、まず税務局で必要な納税(源泉税など)を行い、その納付証明がないと送金できないというケースが多いです。
本来は、単に対外送金できるか否かを判断する「外貨管理の問題」と、中国の税法に従って税金を納付すべきか否かを判断する「税務の問題」を、切り離して考えるべきです。
しかし、各種トラブルを見ていると、両者を混同しているために、本来は外貨当局と話し合うべき問題を税務局と交渉していたり、送金のためにとにかく税金を支払っていたりと、納税者側が交渉相手などを勝手に間違えているケースもあります。
結論として、当局の指導に従うにしても問題の所在をはき違えていたのでは、そもそも交渉にさえならないので正確な理解が必要です。