自然災害リスクの絶対的な被害推定額が高かったのは、日本、米国、中国、台湾、メキシコなどだが、これらの国・地域は災害への対策が充実している。復旧も早く、GDPに対する自然災害による経済損失の割合は比較的小さい。
ドイツ保険会社大手のミュンヘン再保険によると、2011年の自然災害による経済損失額は推定3800億ドル(約29兆9400億円)で、これまで最大だった05年の2200億ドルを約72%上回った。東日本大震災による損失額は約2100億ドルで、同年の世界損失額の約55%を占めた。これには民間保険が適用されない原発事故による被害は含まれていない。
昨年は、タイが大規模洪水(同400億ドル)に襲われたこともあり、世界の自然災害による経済損失額の約70%がアジアで発生した。
タイの洪水では、日系企業が数多く進出する7カ所の工業団地が浸水し、部品供給が滞ったためにマレーシアやインドネシアで自動車生産が一時ストップした。タイはパソコンの記憶装置などに使われるハードディスクドライブ(HDD)の生産基地で、世界供給の25%が洪水による直接的な被害を受け、昨年第4四半期(10~12月期)にHDD価格は55%も上昇した。(シンガポール支局)