派遣団を率いた経済産業省は「イラクは戦争で国土が疲弊し、医療インフラの整備が遅れている。医療機材だけでなく、人材育成や保守・点検などサービスも一体として輸出していきたい」(ヘルスケア産業課)と力を込める。経産省は今年度、中東など10カ国で同様の実証プロジェクトを展開する。来年度も約20億円を概算要求し、医療分野の輸出拡大を牽引(けんいん)する。
経産省によると、世界の医療市場は2001~10年まで年平均8.7%で成長し、医療機器、薬品、診療サービスを合計した市場規模は約520兆円に上る。
その中で、本体に内蔵した光学系で人体内部を観察する「軟性内視鏡」でオリンパスや富士フイルム、HOYAなど日本勢のシェアを積み上げると、ほぼ100%に達する。また、超音波診断装置でも、東芝など日本勢が高い画像処理技術を生かして計2割程度のシェアを握る。
日本の強み結集
しかし、いくら日本勢が個々の医療機材で高い技術力を見せつけても、医療インフラでは欧米や韓国の後塵(こうじん)を拝しているのが現状だ。これらの国々は、地元と協力し、医療機関そのものを海外輸出する「病院丸ごと輸出」の戦略を展開し、医療機器の輸出促進やブランド力向上につなげているからだ。